2023-03-01から1ヶ月間の記事一覧

バカ親参上

担任の先生に会いたいと申し出ると「あ、それはもう」と時間を作ってくださった。 それまでも保護者会や学年集会で学校に出向くことはあったが、先生は私を見かけて目が合うと 「お母さん、本当にすみません、まだ捕まらないんですよ。こちらも監視カメラを…

9年前のこと

息子の靴はそれからまた何度か消えた。 先生が「こちらで見張りますからもう、持って帰ることはしなくていいです」とメールに書いてくださった。 「その方が犯人を捕まえやすいので」と言う表現に引っかかる。 犯人って。 けれど靴はまたなくなった。 私がお…

あの晩だったように思う

ラジオの投稿でこんなのがあった。 WBCの準決勝を息子と同じ部屋でそれぞれ配信とテレビとで観戦していたそうだ。反抗期真っ盛りで普段口も聞かない息子さんはあえて配信で観戦していたのだが、村上選手がホームランを打った時に、二人同時に「おおっ」と声…

ホットステーション

朝、散歩をしていたら雨が強くなってきた。 家を出る時は霧雨だった。霧雨が小雨に。それがいよいよ本格的な降りになったのだった。 それでもザーザーという激しいものでもなく、程よいお湿り程度なのに気持ちは沈んでいく。 初めから強い降りだったなら、身…

ちょっと楽になってきた気がする

自分が摂食障害だと言うことを母にはっきりと公言してからだいぶ楽になった。 いっときは本当に飲み込めないと、自分でも理解できないがどうしても食事することに拒否反応が強く出た。 困ったことに実家との食事がとくにダメだった。 それをわがままだと叱ら…

緩くなる

夕飯時にカポッときた。 あ。はずれた。 家族に見つからないよう、そっと口から取れた詰め物を出した。 口の中に空洞ができた。歯がない。そっと舌でなぞると結構な面積のような気がして「あぁ・・」と少しだけ落ち込む。 それでも果敢に残りのレバニラを食…

前に進む

歯医者に行って長かった治療がひと段落ついた。 子供の頃の詰め物がとれ、その中が神経まで膿んでいたのを全て綺麗にして新しい詰め物にしてもらった。 同じような状態の詰め物は反対側にもあり、まだ先は長いがまずは左、終了。 ずっと院長が担当だったが、…

ケキョ

早朝、子供の鶯が「ケキョッ」と鳴く。 目覚めてすぐ、得意になって発声練習をしているのか。ただ、ただ、嬉しくてたまらないという響き。 悲しみなんてかけらも感じない。この世が物珍しくてたまらない。 ねえねえ、あれなあに、ふわふわしたのがたくさんつ…

気がついた

このところ、ブログを書くのになんとなく気後れしていた。 迷いというのか、自信の無さというのか。 こんなの書いてさあ。。私の文章ってどうしてこうなんだろう。魅力のある文章、書きたいなあ。 子供の時お絵描きが好きだった。幼稚園でハッと気がつくと周…

春分の日2023

墓参りに行く。ギリギリまでテレビでWBCを観戦していた。思うように展開しない試合に内心、これはもしやと弱気になりつつ車に乗りこむ。夫がつけたラジオでその先を聴いていた。普段から私達三人は車の中でほぼ会話をしない。息子が子供の頃からそうだった。…

言い訳

朝から作り置きをしていた。 本当は作り置きなどするつもりはなかった。なかったのに、あんまり鶏胸肉の甘辛南蛮が照りよくさっくりできたので、タッパーに入れたらもったいなくなってしまった。 このまま取っておきたい。 そうなるとジャガイモ4つで作った…

春分の日の前に

プラスチックの引き出しの整理第二弾に取り掛かる。 息子の部屋に置いてあるキャスター付きのそこに、自分の机の引き出しにしまっておいた文具やノート、書類、写真などを放り込んだ。 夫が単身赴任に机を持っていくというので、その時使っていた私のものを…

同士

毎朝すれ違うおじさんがいる。 朝6時少し前に家を出て、緑道をまっすぐ歩く。 昨年の夏からだからまだ一年も経っていないのだが、ある時から同じ人とすれ違う。 必ず、すれ違う。 初めは互いにただの通りすがりだったのが、毎朝毎朝になってくると意識する。…

切って出す

「トンさん、ちょっとこれ見て」 夫が足の裏を見せる。足の裏に釘でも刺したかと思って放っておいたら血豆ができたみたい。これ、医者に行こうと思うんだけど、どこかね。皮膚科かね。 真ん中がどす黒い丸で盛り上がり、それを囲む皮膚が白く輪っかになって…

おまえ何様

運動音痴で観戦にも興味がない。東京オリンピックの時でさえ、今一つ熱量が低かった。 結果とハイライトを見て参加している気分になる。その程度。 子供の時からスポーツに興味がなく、テレビの前に座り手を叩きキャーキャー言う姉と母に比べ、どこか冷めて…

螺旋のように上昇していく

家の中を春仕様に変えた。 台所の隙間風を入れないように置いていたワゴンを動かす。ガス台の前が広くなる。 窓から離れて置いていた無印の机を窓脇の日の当たる場所に戻す。 ガスファンヒーターの前に置くと部屋が暖まらないから壁に寄せていたIKEAの椅子も…

立ち上がる

昨日は、疲れ気味だったのか、急な気圧の変化だったのか、ほぼ丸一日使い物にならなかった。 常日頃が使い物になっている方ではないので、周囲はその微妙な違いはわからない。 洗濯ものを干し、ダラダラと横になる。iPadを眺めながらなんとか買い物に行かず…

そこに愛があるなら

昨日、母と揉めたわけではないが、意見の食い違いを感じた。 些細などうでもいいと思えることに対し、親族の一人を責めていた。当然私もそれに乗っかるだろうと言いつけるように話しに来たが、そうでもなく「まあ、気持ちはわかるけど、そういう人もいるよ」…

悲しみ

母の機嫌を無意識のうちにとっている自分が嫌だ。 嫌だけどそれをしないと穏やかに暮らせない。 家族ってそんなものなんだろうといいきかせる。 上手に振る舞う私はいつも実家をあざむいている。 姉への苛立ち。母への恐怖心。 心の一部、シャッターを下ろし…

赤線を引いておきましょう

母の足は順調に回復している。東京03の舞台を観に行くんだと怪我をした翌日に張り切っていたが、あれは後からの報道で知ったが武道館だった。武道館の客席というのは急勾配の階段のようになっている。あの足でよく行ったものだ。そのガッツが素晴らしい。 先…

キラキラしてる

昨夜もWBCを観ていた。 チェコスロバキアの選手は、本業は野球選手ではない。 お医者さんや電気技師が集まって夜から練習してあのレベルってすごい。 副業というのか、それとも趣味というのか。 解説者がクラブチームという感じですかね、と言っていた。それ…

かさぶた

地面に寝転んだ。 いつ以来だろう。ゴロンと家の外で体を横にしたのは。 ずっと急いでいた気がする。 ずっと自分がおかしくないようにしようとしていた気がする。 変な人と思われないよう。自分が実は変わっているやつだと気付かれぬよう。 普通に。普通に。…

知っとるがな

これが先週。そして これが今日。 こぶし。この前、「ヤマボウシ」の写真を載せてこれがヤマボウシかと自分が感心したものだから、わざわざ書いた。 「みんなに教えてあげちゃった」と息子に自慢すると「みんな知っとるがな」と呆れていた。 「ほう。そうだ…

また来年

お雛様をしまった。4日から発生した冷蔵庫のバタバタを言い訳に飾ったままだった。狭い家なので玄関の靴箱の上にでんっと乗せていた。ここなら家族と少なくとも宅急便屋さんの目に止まる。 息子が仕事で面倒なことが起きて気分が落ちていたので声をかける。 …

満ち足りる

ヤマボウシだって。こういうのなんだ。ヤマボウシ。 昨日は54歳の誕生日だった。 特別なことはせず、普通の食事に普通の1日。むしろ母のところの冷蔵庫騒動で、ほぼ1日外出禁止命令が出たので自分の時間は途切れ途切れだった。 友人が三人、祝いのメッセージ…

姉妹

冷蔵庫三部作も終わる。 実家の冷蔵庫が壊れ、大騒ぎの末、今日届く。 「明日、バタバタして会えないかもしれないから、これ」 姉が1日早いけどと誕生日のプレゼントを持ってきてくれた。小さな紙袋に綺麗な薔薇の形をした石鹸のバスボム。天然のオイルだそ…

修羅しゅしゅしゅ

ヘトヘトなのである。 実家の冷蔵庫が壊れ、大騒ぎの末、運よくピッタリのサイズのものがすぐに見つかり手配できた。 80を過ぎた母は軽くパニックになりながらも持ち直し、その日の午後には友人を呼びつけ、煮魚の惣菜冷凍品を持たせ、また別の友人に電話を…

めでたしめでたし

朝の9時。散歩の帰り道、出勤途中の姉と遭遇する。互いに相手を認知するとイヤフォンを外した。 「おはよ。何か業務連絡は」 母の足の状態に関し申し送りしておきたいことはないかと尋ねた。 「ある。うちの冷蔵庫がお隠れあそばした」 「うそっ、壊れたの?…

お取り扱い注意

母の足の骨は折れてはいなかった。姉が心配していた靭帯も異常なしだった。 よろよろ、けれどしっかりとした足取りで家を出ていく。窓から「一緒に行こうか」と声をかけると迷惑そうに眉間に皺をよせ手をブンブンと降って見せた。さっさと行けばいいものを余…

あなたなら折れていたわ

母が転んだ。 銀行に行く途中、歩道と車道を繋ぐゴムの乗り上げに突っかかったそうだ。 幸いなことに怪我は両手の擦り傷と打撲だけで、そのまま用事を済ませ、湿布を買って自力で歩いて帰ってきた。 そんなことになっているとは知らず、歯医者の帰り、デパ地…