姉妹

冷蔵庫三部作も終わる。

実家の冷蔵庫が壊れ、大騒ぎの末、今日届く。

「明日、バタバタして会えないかもしれないから、これ」

姉が1日早いけどと誕生日のプレゼントを持ってきてくれた。小さな紙袋に綺麗な薔薇の形をした石鹸のバスボム。天然のオイルだそうで本当の薔薇の香りがする。花束に顔を突っ込んだ時のようないい匂い。

「ありがとう。」

自分じゃ買えないちょっと贅沢なもの。気持ちがはずむ。

「そんで、明日なんだが」

事前に下見に来た業者さんに「朝一番にして」と母がかなりの圧をかけていたと言う。怪我した足でも夕方、体操教室に顔を出しに行くつもりらしい。

「ひっじょうに申し訳ないんだが」

「わかってる。一日空けてあるよ。どの時間に来てもいいように、ずっとスタンバイしてるから声かけてって言っといて。」

威勢はいいが、外から人が来るときには誰かを従えていないと不安な母に、搬入の際は私が待機することになるであろうと予期していた。

「それがさ、朝8時半だって」

植木屋さんみたいだ。あれ、8時半・・姉の出社はいつも9時半。

「あたしゃ、面倒だから早めに家を出て、ドトールで朝ごはんを食べようかと」

ニヤリと笑う。

賢い。こう言うところが、賢い。

「ええのう。優雅な朝。いいよいいよ、了解」

すまんのう。と言い帰っていった。

先にプレゼントを差し出すところが、うまい。

足を怪我している母に変わって、仏間に避難させてある冷蔵庫内のものをもとに戻すのも私かと気がついたのは一夜明けての今である。

鈍い。