立ち上がる

昨日は、疲れ気味だったのか、急な気圧の変化だったのか、ほぼ丸一日使い物にならなかった。

常日頃が使い物になっている方ではないので、周囲はその微妙な違いはわからない。

洗濯ものを干し、ダラダラと横になる。iPadを眺めながらなんとか買い物に行かず、尚且つ簡単な夕飯はできないかと考える。

こんなとき、よく揚げ物をする。

揚げ物って不思議で、それだけで「ちゃんとやった」感を自負できる。

オーブンと、揚げ物は、台所を活気づかせると思う。

けれど、本当に疲れ切った頭で気合を振り絞ってやる料理は大抵失敗するのだ。

そもそも「ちゃんとやった感」は自己満足なんだよなあ。

キャベツを千切りにして豚バラ肉を巻く。皿に盛り付けラップして冷蔵庫に入れた。

それぞれチンして、ポン酢で食べてもらおう。

レトルトの麻婆豆腐の素に豆腐を入れて、ネギを加えてチン。

これもみんなの好物。

私の自己満のためだけに油を熱して頑張って、疲れて辛気臭くなるよりも、さっさとこんな献立に切り替えて寝転んだほうが平和で皆も喜ぶのだと、頭でわかっていても変な意地でなかなかそうできなかった。

誰になんのための意地なのか。我ながら賢くない。素直じゃない。最近になってようやく理解した。

ゴロゴロ寝転んで、時々目を瞑る。ラジオをつけて、消して、また目を閉じる。

だんだん日が暮れていくなあ。

それでも動かないでいると、夫が降りてきてシャッターを下ろした。

「今日は仕事早く終わりましたぁ」

よろよろと立ち上がり、チン、チン、チン。大根とキャベツとキノコの味噌汁。

「お風呂洗ってないんだよ。今日シャワーでいい」

「いいよ」

「先、シャワーもらっていい」

「いいよ」

さっぱりした体にノンアルコールのビール。

二人で動物の赤ちゃんの映像を眺めながら食べ始める午後7時。

「ふふふ」

思わず声を出して笑った。

よかった。あたし、元気になってきた。

ふふふ。

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おっ。
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桜、咲いた。