門番

植木屋さんがやってきた。

明日と聞いていたのに雨が降るから今日来ることにしたとおじちゃんは言う。

母は同窓会、私も午後から外出する。

勝手に自分の都合で来られても困るわよっ。

ぷりぷり怒っているのに、本人を前にするとそう言えない。

すみませんねぇ。

いやいや構いませんよ。いってらっしゃい。

おじちゃんの方がえばってる。

もう長年、この人がうちの庭木をみてくれている。以前は三人組だった。1人と喧嘩して2人になって、残った1人にも怒鳴り散らしたものだからついに1人きりになったのだと母は言うが本当だろうか。

笑うとニッとして頑固親父が可愛らしくなる。

私はこの笑顔が好きだ。

貴重な嘘のないガキ大将の顔。

憎めない。

母が出て行った。おじちゃんにぺこぺこ頭を下げて出ていった。

私も出発する。

じゃあすみません、みんなで出てしまって。

私もヘコヘコ謝った。

いいよいいよ、いってらっしゃい。

おじさん、何時までいる?

6時くらい。

それまでには帰ります。

ハイハイ。

なんだか学生時代に戻って、父に約束してるみたい。

帰りにおじちゃんにどら焼き買ってこよう。