もらえた

あまりのことにしばらく固まる。

先週の金曜日、最後の病院の予約をすっぽかしていた。

こんなこと、初めてだ。よりによって最後の最後に初めてのすっぽかし。

長年私を診てくれていた先生は退任なさり、紹介状もすでに記述してくださっていた。あとは宛先。何個か候補を渡されていたがどこに決めていいかわからない。街の評判サイトはどこもクレームがありそれに怖気付く。近所のおばさんは絶対あそこ、と言うがそこは息子の主治医である。なんとなく怯む。

そのことを話すと

では暫定的にもう一回繋いでおきますねと、ラストの予約を入れてくれた。

ここでいよいよ最終決定したクリニック名を書いてもうらうはずだった。

しばし呆然とはこういうことか。思考が止まる。

調べると予約の変更は予約日一週間前まで。ぶっちぎった場合には書いていない。その代わり再診予約取り直しは午前8時から11時の間までに受付を済ませ各科受付へ直接行くという流れだった。

というわけで今、病院にいる。

8時15分前に着いたのにすでに行列ができていた。扉は閉まっている。

ぼんやり列に並んでいるとあっとうまに後ろに長い列。30人以上いる。

みんな一生懸命なにかを抱えながら生きている。

今日は診察をしてもらえるだろうか。薬がもう切れている。薬がないと思うと不安で落ち着かない。なんとか処方箋だけでも出してもらえないかと粘るつもりだ。

どうなるだろう。

薬はもらえるか、もらいたい。

でも、なるようになれとも思う。

流れに任せよう。きっとどうなっても大丈夫。

結局予約を取り直し、その日までの分だけ処方してくれた。

とにかく薬は切れることなく明日からもまた服用できる。

ありがたい。どっと緊張がほぐれる。

こんなとき、あたりまえだったすべてに改めて感謝するのだ。