子供の頃の夢

午後7時。今日も日が暮れた。

なにごともなく、暮れた。

前回、どこにも出ていく気力もエネルギーもない。今は家でまったり過ごしたい、いつか力を蓄えたらもっと活動的に行動したくなるだろうかという記事を書いた。残されたブックマークコメントのことを1日考えていた。

家族が変わらない日常を送れるようにすることも大切なことだと書いてあった。

嬉しかった。同時にハッとした。

そうだ。私はこうなりたくて望んでいたんだった。

子供の時から大きくなったら主婦になると決めていた。

家のことをしながら家族を待つ、合間合間に自分の楽しみもみつけ、家を仕切る。

そんな大人の女性になりたかった。

親の作った家ではなく、自分自身の家庭を持ち、思い通りに切り盛りしたかった。

なかなか子供に恵まれず、体も壊し、母との葛藤に気を取られ必死に日々を送っているうちにすっかり忘れていた。

不平不満でよく泣いて落ち込むばかりで一杯一杯で、なんのために生きてるのだろう、なんてことの方に思考は向かっていた。

 

気がつけば望んでいた日々を送っているではないか。

体調も波はあるものの、安定している。

心も。自分にも家族にもだいぶ余裕がでてきた。

平穏な日々。

階段をのぼって洗濯物を干せるようになった。

毎日台所に立てる。

窓に立ち、家族に手を振り見送ることの奇跡。

なりたかった自分にほぼ、ちかい。

予定ではもうちょっと賢い良妻賢母っぽいイメージではあったが、今の姿が私らしい。

朝、息子がエアコンをつけて出かけていった。

「消すなよ、一人でもつけろ。帰ってきて死んでたら困る」

こんな幸せは想像していなかった。

なにを欲しがっていたんだろう。

きっとこの先も想像を超えた喜びが待っている。

今日も何事もなく、日が暮れた。

神様、ありがとう。