期待に応えるのをやめよう。
母が誕生日の集まりを楽しみにしている。
孫ちゃんに話した?なんだって?
その表情と声のトーンでわかる。
うんとたっぷり幸せな気持ちにしてやりたい。皆が機嫌良くワイワイ集まり母を主役に過ごす夜にしたい。
食卓も華やかに、お寿司だけでなく息子や姉や夫の好物も並べて。
息子には唐揚げ、姉にはポテトオーブン焼き、夫はチーズとクラッカーとワイン。
簡単なサラダもあるといい。
デザートはイチゴとアイスクリームでいいか。
そうだ、母用にカフェインレスのコーヒーも買っておかないと。
ぼんやりとだけどそんなメモが頭の隅っこに張り付き、常に書いたり消したり見直したりしてる。
試験前の単語カードだってこんなに見返して確認しない学生だった。
母の誕生日。母が来るクリスマス。大晦日、正月。母が私を祝う誕生日。
なんとなくいつも妙に力が入り妙に疲れる。
喜ばそうと思う。喜んで見せなくちゃと思う。
なんか変だ。
期待に応えるのは満足させたいのは自分の平和のためなのか。
がっかりさせたくない。
母がすぐ膨れるのは期待が大きいから。
私がしんどくなるのはそれに応えてやりたいと意気込むから。
悲しくなるのはこんなに頑張ったのにとおもうから。
なんかおかしい。
期待に応えるのはおかしい。
私流に催そう。できる範囲で。余力を持って。私自身が楽しくなるように。
結構度胸のいることだけど、そうしよう。
私がやるんだから、私が楽しめないと。
そう決めたらスーッと軽くなった。のしかかっていた何かをとっぱらった。
勝手にのし掛からせていたんだけど。