暮れのメールボックス大掃除

メールの未読が340になったので、観念して整理をはじめた。

新着メールが届くたびにマメに開き、処理していればこんなことにはならない。

メールボックスをのぞき、広告やメールマガジンだと、緊急を要さないやと、開かずそのままにしていた。

開いたメールは件名の黒い太文字が変わる。だから無精を続けていた私のメールボックスはとうとう真っ黒になってしまった。ズラッと上から下まで太文字の件名が連なる中に、所々、カード利用報告や生協からの連絡、宅急便会社からの不在連絡などが白く抜かれている。これではどっちがメインなのかわからない。

やるか。

理想とするのは、見やすいわかりやすいボックス。

どこかの会社に問い合わせをしても今のままでは、その返事がきたとしてもうっかり不要な広告として見逃してしまう。

一つ一つ、開封する。

かつて通販で買った商品を元に送られてくるメールマガジンがほとんだ。

それをいちいち文末までスクロールし、配信解除の手続きをする。すっかり挫折した手芸のサイトからのもの、お試しの無料サンプルを注文した化粧品会社からのもの、ユーザー登録したオーディオ製品会社からのもの。店頭で会員になればこの場で1割引きにしますと言われ、その場でメールアドレスを書いて会員になった靴屋からのもの。

どれもこれも。

その時はいいと思ったが、今は全く必要のない情報ばかりだ。

靴屋のにしたって、手芸サイトにしたって、一回切りの利用で全く構いません、すぐに登録解除したっていいんですよと謳っている。あ、そんならいっかと、ホイホイ登録してそのまんまにしていたこちらの不手際である。

言い訳がましいが、本来私はめんどくさがりなので、店頭での一割引のために書類に記入しない。

自分がその後、解除手続きをしないとわかっているから、1割くらいなら別にいいやと断る。

しかし夫は節約家でキチンとしているので、利用できる割引はポイントでもカードでもとにかくなんでも使う。目の前に電気屋があってもポイントがたまる店までわざわざ車を出して行く。

確かこれは夫の靴を買いに行った時、その場にいた彼が

「なんで、登録しないの?帰ってすぐ解除したらいいんだよ」

と声をあげ、断りそびれたんだった。

あれは何年前のことだ。単身赴任直前だったからもう4年前か。

メールを開封しながら過去の一場面を思い出す。

あの時は鬱の時に読んでいた本を全て手放したくて、古本を一斉に遠い県のお店に売ったんだった。

ああこれは、母のプレゼントにシクラメンの鉢植えを送ったときの店だ。

これは義父の洋服を頼まれたときの店。

これはカード決済しかできないから変わりに買って、現金を渡すからと息子に頼まれた映画のチケット。

母に頼まれたコンサート。

夫に頼まれた会社の人へのお土産。

私のボックスは家族の趣味と生活が混じり込んでいる。

まるで私の箪笥みたいだとおかしくなった。

自分の好みで買った服より、息子が母が姉が不要になったと持ってくる服と、誕生日に貰う自分好みでない服が入った箪笥と分布の割合がよく似てる。

どちらもパッと見た限りでは私という人がどういう傾向のものに興味をもつのかわからない。

3時間かけ、いらないメールを削除し、不要な配信をストップさせ、綺麗にした。

一週間ほど反映にかかるところもあるらしいので、そうやっているそばからまた不要メールのお知らせがきたが、その場で削除。この美しさをキープしたい。

しかし、家族の趣味が幅をきかせているメールボックや箪笥こそ、最も私という人を表しているのだ。