妻は旅に出ます

検診に行ってきた。

いつもの通りまず先生は「様子を教えてください」とおっしゃる。

それに対し、年末年始にかけての自分のコンディションの波と、気になったことを話す。

採血をして、次回検査予約をし、終了。

最近の診察は「何事もなく生活しております」と報告する感じ。

健常とはいえないが、ヘッポコなりに安定している。

だんだん自分の扱い方がわかってきた。

ここにく来るたび、4ヶ月過ごした古巣を訪れたようでホッと落ち着く。

病院が落ち着くとは病んでいるようだが、

外界から切り離され、自分がしなくてはならないことは食べて寝るだけ。

患者として自分の全てを先生達に委ねていたあの日々は、安心に包まれていた。

熱が出ようが、いろんな機械をとりつけられようが、立ち上がれながろうが、オムツをしようが、それをどうしようとは思わなかった。

どうなろうと流れに逆らうことはできない。

だからこそ、昨日できなかったことができるようになると、それだけで心が弾んだ。

寝返りがうてた。

立てた。

トイレにいけた。

歩けた。階段を登れた。降りれた。

オシッコの管がとれた。

ベッドから降りてエレベータホールまでは息抜きに出ていいと許可がでた。

本を読んでいいと言われた。

ささやかだったとか、謙虚だったとか、そんなんんじゃない。

一度ペチャンコになったものが息を吹き返していくことがただただ、嬉しかった。

 

またここで自分を整理整頓したい。戻りたい。

疲れていると、ときどきそんな不謹慎な想いが頭をよぎる。

間に合わせのいいかげんなご飯じゃない食事をきちんと食べて、こんがらがっている心の部分に光を当てて浄化したい。

今日もそう思った。

けれど今日の私は少し強かった。

いつまで人に委ねるんだ。医療機関に依存するなよ。

 

温泉。

そうか。みんなこういうときに温泉にいったりするのだな。

ああ〜、温泉にいきたいなあ。

上げ膳据え膳、部屋風呂、部屋食で、うるさくない中居さんのいる清潔であったかい宿。

 

帰ったら温泉ごっこしよう。

カレーも作ってきたし、明るいうちにお風呂を沸かしてベッドでゴロゴロしてなんとなくテレビつけて、漫画読んで。

気になる家事も旅先だからしない。

だーらだーらだーらだーらしよっと。

旅先で食べるお菓子も買ってこ。ビールも買っちゃおうかな。

考えるだけで頬が緩む。

むっふっふっふ。早くかーえろっと。