今朝、ふと、ああ、息子が生まれた日のこととか、ハイハイをしたときのこととか、書いて残しておきたいなあと思った。
2歳半をすぎた頃から小学校に上がるまでは毎月、息子新聞を作って義父に送っていたので日常のかけらみたいなものが残っている。
しかし肝心の新生児の頃の記録は一切ない。
当時、父の最期の頃で毎日病院に通い、母に代わって祖母の食事を用意したり、その合間に公園に連れていったりと、息子中心の生活からはかけ離れていた。
一人目のやっと授かった宝物なのに「とりあえず」と味わいきらずに通り過ぎてしまった。
そんな台風のような日々の中でも、やっぱり甘く蘇ってくる記憶の瞬間はある。
そのわずかなものたちを、書いて留めておきたい。
薄れないうちに、心のアルバムに貼っておきたい。
そんなことが頭に浮かんだのだ。
今日は夫が休みで家にいる。
先日の検診で引っ掛かり、病院にすっ飛んで行き、今のところは無罪放免となったものの、すっかりビビったようで自ら栄養指導を申し込んできた。
その予約が今日なのだ。
平日なのに夫と一緒にスーパーにいける。
小さくルン。
おでんが食べたいと言うので昼から煮込む。
息子には肉っけが足りないかもと唐揚げも揚げて、半分冷凍する。
母が「あれ美味しかったからまた作って」と言うので胸肉の低温蒸し鶏を仕掛ける。
熟れかかったバナナが半値だったのでバナナケーキを焼く。
台所であれこれと立ち続けている自分がちょっと嬉しい。
「お風呂洗ってくれる?」
「んー、もう沸かしとく?」
「そだねー」
湯気だらけの夕方の台所。
ああ、息子のアルバムを書くはずだったけど今日は無理かぁ。
読みたい本もまだ半分だなあ。
それでも天秤にかけると、夫とまったりテーブルに腰掛け、大して興味もないテレビを見ながらコーヒーを飲む時間の方が貴重だ。
まあいいや、月曜日になったら。
ああ。月曜日はルーターの交換工事の立ち合いがあったなあ。
ハッとした。
そうだ。
今こそどっぷり息子との時間に焦点を合わせられる最期のときじゃないか。
就職して、独立したらとたん、こんな風に3人揃って家にいる夕暮れなんてなくなる。
ラストチャンスなんだ。
あのとき、味わえなかったぶん、今こそ悔いのないように「母さん」をしよう。
今はそれに専念するとき。
そう思ったらスッと焦る気持ちも消えた。
書き残す楽しみは消えないから大丈夫。