ベッドの向き

久しぶりに夫が出社した。

さあ。今のうちに。

仕事中だと入れないのでまずはシーツを洗いたい。

それともう一つ。夫のベッドの足元に、高さ1メートル80センチの本棚がある。スライド式で手前と奥に収納的るタイプのものだ。

そこに綺麗にぴっちりではなく、雑誌や分厚い本が、ごちゃまぜに積み重なって乗っかっている。大きな地震があったとき、本棚が倒れなかったとしても、あの置き方では中身が雪崩を起こし、寝ているところに覆いかぶさってしまうのではと、ずっと気になっていた。

さあさあさあさあ。

やっちゃいましょったらやっちゃいましょ。

まず、机を移動させる。

机の下にも雑誌や新聞やなんかの教材が積んである。

それらをキャスター付きの椅子に乗せ一旦どかす。

あとは、机に布を噛ませ、ズズズズ。

ベッドもズズズズズ。

本棚横に机、出窓の下にベッド。

これで大丈夫。

・・・・ダメだ。狭い。

あまりにも夫の空間が狭くなってしまった。

ズズズズズ。

たった今、ゼエハアいいながら動かした大物をまた元の位置に戻した。

どうしよう。

とりあえず本棚の上に積み上げられている、危なっかしいもの達を移動させ、段ボールに詰めた。

危険度5から3ぐらいにはなっただろう。

「大丈夫だよ、突っ張りがあるから倒れないよ」

あの本の置き方をもう少し整然とした方がいいと言うと、夫はめんどくさがって取り合わない。

多少狭くなろうが、あのままベッドの向きを変えた方がよかっただろうか。

私だったら狭いところは落ち着くから好きだけど。

 

 

息子、母に怯える

おかげさまで息子は手術も済み順調に回復しております。

緊急で入ったので、空いている枠にする予定ではあったのですが、昨日の朝、いきなり先生から

「これから手術します。今朝の触診の様子では点滴がだいぶ効いているようで腹膜炎の心配もないので、入院時と違って今すぐやらないといけないというわけでもなくなったので、就活の後にしても大丈夫になったのですが、ご本人に話したところ、もうやってしまうと言うので、予定通り、しますね」

さすがに手術室に行くときくらいはそばにいようと思っていたのが、思いの外の早い展開にオタオタ。しかし始まってしまうと言うのならなすすべもありません。

ちょうど、昨日は私自身の検診日でもあったので、すぐ病院に向かいましたが顔を出した時には

「今、ちょうど手術室に向かいましたよ」

一歩及ばず。

自分の診察を終えて戻ってみると、

「今麻酔が覚めて、30分たったので歩く練習するところです」

結局私が目にしたのは、管も抜かれ、ちょっと朦朧として「痛えよ」といってるところだけでした。

痛み止めを飲むからベッドを起こしてくれと言うので、ベッド脇についているボタンを押すと

「あし、あし、足が上がってる。ちょっ、ちょっ、く、苦しい・・」

「え?間違えてる?こっちかしら」

「違う、だからそれ、足だって、上がってる、苦しい、ちょっと止めて・・」

術後すぐの息子を苦しめてどうする、母。

「ごめん、ちょっと看護婦さん呼んでくる」

廊下で空のベッドを押してこっちに向かってくる看護師さんを呼び止め部屋に入ってもらうと

「あ、ハイハイ、これね」

ガーっと私が持ち上げてしまった足の方は下がり、次に頭の方が起き上がっていくのでした。

楽な大勢になったところで息子、呟く。

「オッチョコ・・・」

 

気の毒に、痛み止めだってほど痛むというのに、余計な痛みまで味わされたのでした。

気の毒に。

 

私が一番未熟者

昨日、夫のあまりに豪快なお金の使い方に腹を立て飛び出した。

UNIQLOにふらりと入ってみた。

衝動買いはしないたちだが、こんな時こそやるものなんじゃないの?そうよそうよ、サラッと個室を抑えてしまうくらいお金があるっていうなら、私だって私だって。

しかし貧乏性なのか度胸がないのか、羽目を外せない。

良いなと思うものを見かけても、どこにきていくんだ、家の中でこれは掃除しづらい、なにと合わせるんだ、と冷静な自分が私を叱る。

結局夫の寝巻き代わりに着ているTシャツが、散々着たものだから生地が薄れていたので代わりの一枚を買った。

悔しい。なんで夫のものを買うんだ。

落ち着いて考えてみれば夫が考え、そうするべきだと判断したことなのだから、それでよかったのだ。

その判断にチラリとも加わることもなく決まってしまったことに、拗ねてしまっただけかもしれない。

夫に怒りをぶちまけたところで、空気が悪くなり、自分自身もつまらなくなるだけなので、いつからか多少のことは問題にしなくなった。

たいていの場合、時間が経つと、問題は問題ではないかもと思う。

今回もそうだった。

 

今回のことで意外な発見。

夕方、息子からラインが入ったのだが、その冒頭に「お騒がせしております。父さん今日はいろいろお世話になりました。母さん荷物をありがとう。助かりました」とあった。びっくりした。

助かりましたなんて、言うようになったんだなあ。

あったまきたと飛び出した己が恥ずかしい。