に、に、に、

息子が早朝、またお腹が痛い、この痛さは例の虫垂炎の暴れ出す序章と同じだ、間違いないと言う。

間違い無いのなら、緊急外来に行くべし。

え。。一瞬躊躇したものの、お腹を抱えて夫の車で病院に向かった。

結果としては、悪さをする前にこのまま入院ということに決まった。

まだ日程は決まっていないが近日中に腹腔鏡手術をすることになる。

 

・・・・こ・こ・こ・こしつ。。

夫が個室をとった。

個室をとってきやがった。

1日、に、に、25000円だという。

 

一週間の入院、プラス手術日、プラス、食事代。

息子を心配するよりも、怒りが込み上げてきた。

なんとか夫に大声をあげそうになるのを抑えるために、外に出た。

スーパーに行き、前開きの寝巻き、洗面道具、院内で履く突っかけを買う。

一つ一つ、選んで会計をするうちに、ボルテージが下がっていった。

決めてきてしまったものはしょうがない。

難しい病気でなかったのだ。

お金で息子の無事を買ったと思おう。

 

無理やり、自分に言い聞かせているところ。

自分であるということ

最近少しづつわかってきた。

不安の種に真正面から向き合わなくても、生きていけるということ。

心に抱えているものがあるとき、私はその問題を深堀し、それがいつか悪さをすることを恐れ、どうにかそれから逃れられないかと稚拙な小手先の手を打ち続けてきた。

問題は本当は自分だけの努力じゃどうにもならないものであるというのに、そこがもとで湧き起こる自称一つ一つを、モグラ叩きをしているかのようにその場しのぎの対処をし、必死に逃げてきた。

何をそんなに怖がっているのかと考えると、結局はプライドとか、そんなかっこいいものではなく、単に自分が傷つくこと、それだけなのだ。

傷つくことを恐れるな。

そういうけれど、一度深い傷を追うと、もう二度とあんな辛い思いをしたくないと、どうしても思う。

心にダメージを追うことが怖いのだ。

そのためにジタバタジタバタと私がやってることはどれもこれも不自然なことだ。

自分自身であることは、丸腰の無防備な状態になるのと似てる。

でも。もうお手上げだ。

疲れ果ててしまった。

私にはコントロールできないことなのだと諦めるしかない。

腹を括って、不安は不安でどうしようもないものと持ち続けることにしよう。

私は私自身に戻ろう。

そんな私を馬鹿にして、また笑う人も出てくるだろう。

それでも、グッと地に足をつけて、自分を貫くとしよう。

まだまだ

まだまだまだまだ、怖くて怖くてたまらない。

でも誰も助けることはできない。心のあり方を変えるしかないのだ。

不完全燃焼のまま無難に無難に生きていくより、血だらけになってでも、魂を取り戻し、死ぬまで私自身でありたい。

 

つるんと冷たいよ

お裾分けで水羊羹をもらった。

カップ型のもので5つ。塩小倉、小倉、抹茶。

もらったときすぐに思ったのが、「あ、これ夫の昼ごはんの時に添えてあげよう。」。

このところ立て込んでいるらしく、昼はパッとおにぎりだけですぐまた仕事に戻る。

さすがにそれだけでは燃料がもたないらしく、時々夕方に降りてきて

「まだ長引きそうなんだけど、ちょっと何かない?」

と小腹にいれる。

先日、たまたまおやつに買ってあったどら焼きを見つけ

「これ、食べていい?」

と嬉しそうにパクつき

「あぁ、頭がすっきりした」

と上がって行った。

それが記憶にあるものだから、パパッと食べられるし、ひんやり冷たいし、あんこだし、これは喜ぶに違いないと思ったのだ。

塩味のおにぎりの横に水羊羹。

昼の糖分なら脳味噌のエネルギー源になるだけだし、こりゃいい。

その日の晩、夫はいつもより早く仕事が終わり、3人揃って食事をした。

秘密兵器をひけらかしたい気分から、つい一番早く食べ終わった夫に

「水羊羹あるよ」

とチラつかす。ところが

「んー、今はいいかな」

やんわり拒否。

しかし食べ終わった息子が冷凍庫からアイスを取り出すと

「僕もー」

雪見だいふくには手を伸ばした。

ま、そうか。夕食後に食べるものではないか。

翌朝、朝食後の夫にまた勧める。

「水羊羹、食べる?冷たいよ」

もはや、石焼き〜イモ、お芋ちゃんだよ、ホッカホカだよってなもので、そっと添えるのとは趣が違っている。

「あ。いいや」

夫の方もブロック大勢が出来上がりつつある。

おかしい。水羊羹自体は好きなはずなのに。

わーい、と喜ばせるはずのものが、すでに押し売りに近い。

遅く起きてきた息子のお盆にもそっと水羊羹を乗せておいた。

「ごちそうさま。あ、俺、これあとでいいわ」

スッとはじかれた。

つるんと、美味しいのに。

おにぎりをお皿において、大急ぎでスーパーに行って戻ったきたら、お皿が空になっていた。

しまった。留守中に食べられた!

明日こそ。

絶対脳疲労に効くんだって。