そういう時期

夫は昨夜、0時を回って帰ってきた。

「短くできたよ〜」

ご機嫌である。その声の明るさにうまくできたんだなと少しだけ安心する。

入学試験のように1日中気を張って緊張していたわけではないが、夕食を食べる頃、そろそろだなと思った。

遅かったのは電車に乗って寝過ごし、路線を一往復したためだと言った。

よかったよかったとまた眠る。

今度は自分も伸びやかに目をつぶる。

どうでもいいこと。どうでもいい小さなアクセントを共有する。

落語を観に行った夜、夫が迎えにきてくれた。

暖かく、歩いて帰れる距離だったから必要ないっていえば必要ない。車で迎えに来たのでなかなか合流できず、さっさと帰った方が早いのにと思いながら探す。

それでも通りで片手をあげて合図する夫を見つけると気持ちが緩む。

私の30秒でね、も必要ない余計なお世話だ。

息子が家を出てからこんな小さなことが増えてきた。

そいういう時期に入ったのだな。

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