母さん頑張る

頭がぼんやりしている。

昨晩、深夜12時、息子が急にやってきた。

コインランドリーに仕掛けたが、乾燥が弱かったようで生乾きで困った。手持ちの小銭が少なく、初めてなので加減も分からずとりあえずギリギリの時間でセットしたが足りなかった。

一週間分の衣服に対し、200円では。100円、10分。厳しい。

山ほどの生ぬるい洗濯物を抱え、このまま部屋に干してもカビは生えないかと電話をしてきた。

緊急事態でない限り、私は9時には寝るからそれ以降の電話はしてくれるなというのを承知の上でかけてきたということは、彼にとってこれは事件なのだ。

「大丈夫大丈夫。とりあえずもう遅いから帰ってそのまま部屋に吊るしておけばいいよ。とにかく早く寝た方がいいよ」

そう言いながら時計を見ると11時半。これから家に帰ってハンガーに吊るすのも気の毒にと思う。

「ハハ。そう。まだご飯食べてないんだよ」

「今、外?そのまま預かろうか?明日、朝、出社前に取りに来る?」

いいの?

いいよ。じゃあどうせならついでに食べてく?それとも一泊しちゃって朝、向こうに寄ってから出社する?どっちでもいいよ。

・・・いいの?

二度目の「いいの?」はちょっと間があって、きまり悪そうだった。

「いいよ。じゃあなんか作っておくから、あとで」

歩いて数分の隣駅に住む息子。急遽、やってくることになった。

ベッドから起き上がり夜中の12時に台所に立つ。夫が飲み会でありあわせで済ませた冷蔵庫はスカスカ。炊飯器も空だったのでパスタにする。

先日、いらないと断られた作り置き冷凍の煮込みハンバーグをチンしてパスタにかけた。ほうれん草と卵と牛乳をレンジオムレツにして脇にのせる。

夜中にこんなに食べないか。腹ペコだったら食べるか。

朦朧とした頭で用意する私の横で、思いがけない息子の来訪にはしゃぐ夫は、部屋をぐるぐる目的なく歩き回る。

嬉しいね。いいいい、いつでも来ればいいんだよ。ここでしっかり食べて寝て、充電すればいいんだよ。

うるさい・・・。

まもなくやってきた。洗濯機を回し、入れ違いに私は寝る。

「ここにご飯置いておくから。おやすみ」

また布団に入る。頭の芯がジンジンしていた。

全てのエネルギーを出し切った。

息子はまず風呂に入り、食べた。

朝、4時に起きた。息子はテーブルの前で椅子に腰掛けたまま寝ていた。起こし二階に行かせる。洗い上がった洗濯物を乾燥機に入れる。流しをみると残らず平らげたようだった。

突然のアクシデントになんとか、やれた。

ぐったりしていた頃の自分だったら、問題を抱えてくる息子にイラつき雑に対処しただろう。

小学生の彼にそうしてしまった。しっかり受け止めてやらなかった。それを少しでも償いたい。

出ていく時、玄関で、乾いた洗濯物が入った紙袋をひょいと上に掲げ「助かった、ありがとう」と言った。

母親ぶらせてくれて、こちらこそありがとう。