押し売りなのかお便利なのか

月曜日、火曜は雨、それも一日中、隙間なくザーザー振りの雨だと知り、午後に明日の分とチョロっと歩いてきた。

いつもの半分程度の短い距離を回って戻る。戻ったら息子が起きてきて食事をすませ、テレビを観ながらお煎餅を食べていた。

「出かけてたの」

「うん、まあ、明日雨だって言うから」

「主婦の鏡やなあ。」

買い出しと思ったらしい。違う違う。こうしていつもより余計に歩いておけば明日、心置きなく家に篭れる。それだけのために意味なく歩いてきたんだよ。

「まあ、これから主婦の鏡と呼んでくれても構わんよ」

息子はそれから着なくなった服をリサイクルショップに持っていった。出かける直前

「遅くなったから寄り道はやめた。一旦ここに戻って、そのまま帰ることにした」

「ああそう。じゃあ、夕飯早めに食べてく?」

「うーん、どうしようかな」

あ、また余計なこと言った。

「まあどっちでもいいよ、早く行っておいで。」

古着は思ったほどいい値段がつかなかったそうだ。

「冬物だしね」

「でも、査定は全部Aだ」

レシートにはずらっと縦に、一つ一つの服に付けられた値段があり、その横にAとある。得点とランク。

こういったものにも成績がつくのか。

「えーっと、夕飯、食べてこうかな」

「いいのよ、べつに。ここで食べなくても。早く帰って家事やって一杯やりながらのんびりしても。こっちで食べてもいいし、持って帰ってもいいし、好きなの買って帰ったって、まったくなんだっていいから。好きにおし」

「そうか。じゃあ、このまま帰ろうかな」

「オッケー」

冷蔵庫から麻婆豆腐と蓮根にひき肉を挟んだのと、小松菜と卵の炒め物をやっぱり持たせる。

抵抗しないから便利だと思っているのか、抵抗できなくてやれやれと思いつつ持って帰るのか。

反応を見ながら探る。

冷凍庫を開け、好きなの持っていってと言うと生姜焼きとハンバーグと牛丼の素をひとつづつ選んだ。

どれも3つづつあったので、冷凍庫の中はそれほど減らない。

今週は私もこれらを活用して楽しよう。

作り置きも溜め込むといらぬ思い入れがついてしまう。受け取る方は重い。

軽やかに軽やかに。

夫のハンバーグも生姜焼きも、残り、守られた。