整理整頓が続いている。
いらないもの、しがみついているものをどんどん片付ける。
なんとなく便利だからとパソコンを置いている机の横にさらに並べていたミニテーブルも、二階に運んだ。
そろそろ拠点を二階に戻そう。息子はいないし、夫のテレワークも週1日あるかないかになってきた。今週は毎日出勤だ。これからはこんな感じに落ち着くのだろう。
だんだん日常のリズムがあの頃に戻りつつある。
この数年、社会だけでなく我が家の中でも大きく変化した。
私の心の中はずいぶん変わった。
相変わらず目に入った誰か、耳に入ってきた誰かといちいち比べそうになる。けれど最近は、そんな場面に出くわしたら離れることしにしている。テレビの番組ならチャンネルを変える。本なら閉じる。SNSなら消す。
海外ドラマを好むのも多分、そういうことなのかも知れない。国内ものだと、つい、登場人物のをぼんやり自分のもと引き合わせる。綺麗な部屋、整ったスタイル、顔、日常の食事、なんでも。
ドラマなんだから。夢を持たせているところもあるんだから。そうわかっていてもつい、気がつくとやっている。
それは、自分を疲れさせる。
同年代の女性の出ていない、国が違って環境も比べようもないもの。そして殺人や事故やハラハラドキドキのないもの。
しんみり考え込んだりせず、暗くなく、ちょっとユーモアもあって、でも品の悪いことのない、ドロドロしていないもの。かといってほんわかしすぎて退屈したりしないスパイスのきいたもの。
できれば好みの男性が登場人物に一人はいてほしい。
そんな狭いストライクゾーンに当てはまるドラマを日々、探す。
余計なものを捨てて捨てて、捨てた。
思考も家の中もスッキリしてくると自分が何が好きで何をしてると落ち着くのか、浮き彫りになってきた。
そうそう。私はお母さんになる前、こんな風に過ごしていたんだ。
結婚する前、奥さんになる前、こんな感じだった。こんなことが好きだった。
そうだったそうだった。
忘れていた感覚が思い出される。
違う誰かになろうとしてずっとよそばかり向いていた。
私は私のところに戻った。
昨日の朝。まだ蕾の桜。