よかった

夜中、夫が「よく頑張ったよく頑張った」と言うので「うん」と答えた。

仕事が忙しいのかなあ、でも今の私の「うん」は、うん、私も、っていう意味なんだよ。私もよく頑張ってここまできたって思ってるとこなんだよ。なんて心の中で思っているところで目が覚めた。

寝言だったのだ。そして私は寝ながら声を出していたのだ。自分の声で目が覚めたのだった。

子供の時、似たようなことがあった。

「ヤァだっ!」

それは大きな声だった。誰かが来たらどうしようと思うほど、誰かと喧嘩しているようなハッキリとしたものだった。

ドアの外には灯りがついていて、台所のテーブルでは、まだ姉と母が受験勉強をしていたから時刻は9時か10時くらいだったのだと思う。そっと覗きにいくと二人に私の雄叫びは聞こえていないようでホッとしてベッドに戻った。

そのとき、夢の中でまで自分が癇癪を起こして怒っていることが残念だったのを覚えている。

寝ながら夫が「よく頑張った」と満足そうにしみじみと言っている横で、「うん、私も」とこっちも寝ながら言っていたのかとおかしくなった。

でも、今見たの夢の中の私は怒っていなかった。ふむふむと頷きながら穏やかだった。