お助けマン不在

整理整頓ついでに台所もやる。

使っている一軍だけを手のとどくところに置いて、あとはしまう。ホットプレートも電磁調理器も見えないと使わないので出しておく。

補助に置いているテーブルを思い切って小さな折りたたみのものと取り替えた。台所にあった方をパソコン机の隣に並べ、パソコン隣にあったミニテーブルを台所に持っていく。ミニテーブルの下にゴミ箱を入れると狭い台所も少しはスッキリした。

こういうささやかな変化が嬉しい。新学期の準備をしているようだ。

家具を移動させたりしたものだから疲れてしまった。

動き良くなってやる気を誘う配置になったのに、何も作りたくない。

そうだと、じゃがいもニンジン玉ねぎを炒めたところにポトフの残りを足す。

ほろほろになるまで煮込んだ鶏肉と丸ごと玉ねぎ。大根が鍋の中で崩れていく。

冷蔵庫で萎びそうになっている舞茸と中途半端に残っていた蓮根も入れた。

カレーは全てを引き受けてくれるのよ。

転勤の多かった家に育ったラジオのリスナーさんの投書に、引っ越しの前日は必ず、おばあさまが冷蔵庫の中のものを一掃するためになんでも突っ込んで作ってくれたとあったのを思い出したのだ。

甘く煮たカボチャでもさつま揚げでもなんでも入っていた。不思議と美味しかった。と言っていた。

真似してポンポン残り野菜を放り込む。だんだん弾みがついて小松菜と厚揚げの煮物のタッパーに手が伸びた。

蓋を開ける。・・・いける気がする・・・。

やめた。致命的なことになるような気もする。いける気もするけど・・やめとこ。

野菜ジュースも入れた。

さて。いよいよお助けマンを。

床下からルーを出そうとしゃがみ込んだが、見つからない。

買い置きがあったつもりだったのに。そうだ。この前ドライカレーをたくさん作って冷凍したんだった。

どうしよう。

グラタンの残りがあるからあれを入れてクリームシチューにしようか。

さっきの小松菜同様、いける気もする。しかし危険すぎる。

疲れて何もしたくないからのカレーだったのに。

散々迷って渋々財布を持って家を出た。

お助けマンには常に家にいてもらわないとなりませぬ。