考えない人

明日はあれをやろう。

今日は午前中、あれをやって、午後からこう過ごそう。

これまでなんとなくそういうイメージを作って、朝になると「さあ今日は」とその通りに動いていた。

なんとなくエンジンがかかりやすく、専業主婦の私はそうやってゆるい時間割を作っておかないと何をしたんだかわからないで日が暮れる。

あれをやってこれをやって。

ブログは朝、書いて。午後は積読の本を少しでも読み進めよう。

それをやめた。

朝食が済む。

観ていた番組が終わりテレビを消す。

パラパラ料理本をめくったり、ゴロゴロ転がってぼけっと窓の外を眺める。

そのうちそれにも飽きて立ち上がる。

食器を洗い、さっき見た料理本の簡単にできそうな常備菜を作ってみようかなどと思いつく。

ラジオをつけてなんとなく1日が始まる。

常備菜を作っているはずの途中で掃除機をかけたり、あ、そうだと宅配便の手配をする。あ、そうだからまた、あ、そうだが繋がって生協の注文をする。

それが終わって目の前の本をちょっとだけ読む。

また台所に戻ってもう一品、作る。

糸と糸、点と点が繋がって時間が過ぎていく。内容もない、どうでもいいような小さなことだけど、浮かんできたその流れに乗って動く。

楽しい。そして満足する。

ぼんやりしているのが好きだったなあ。

思い出した。結婚する前の私はいつもぼんやり空を眺めたり高いところに登って下を走る車を眺めたりしていた。

あのとき、私は何を考えていたんだろう。

何も考えていなかったように思う。

そうだったそうだった。何も考えていなかった。

本来の私に戻っていく。