ありがとう

最後の診察だった。国立病院の外来最後の日。

2011年に救急車で運ばれICUで今晩が勝負ですと言われてから4ヶ月、入院した。

退院できないかもしれない。

退院しても完治は難しい。

いろいろな自分の身体の生まれ持った癖、疾患を知る。何をどう説明されてもそれが自分ごととは思えず、気持ちも理解もついていかないままだった。

ただ、どうしてこんなことになったんだ。自分を責め、惨めになり、落ち込み、希望も意欲もなくして消えてしまいたい日々が続いた。

投げやりになって薬をちゃんと飲まない時期もあった。

精神科に通った時期もあった。

でも、今、私は生きている。

家事をして、家族に「いってらっしゃい」と手を振る。「おかえり」と声をかける。

洗濯物を干すために階段を上がる。

家族に自分の作ったものを出す。

喧嘩もする。一緒にご飯を食べてテレビを観る。かんぱーいと、やる。

おはよう、おやすみ。

ここにいること。繰り返しの毎日があること。

よかった。ここにいられてよかった。

先生に、家族に、私の生命に、神に、宇宙に、全てのものに感謝する。

病院を出てすぐにファミリーラインにメッセージを送った。

これまでで一番、検査結果が安定していました。ありがとう。

夫がすぐ返事をくれた。

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