木曜、私飲み会です
そう宣言した時の口調はまだ鼻息が荒かった。
私だって夜の街にでていくぞ。文句あっか。といったような「どうだ感」が強く出ていた。
しかーし。
昨日は緊張のためか、22度の気温にもかかわらず寒気がとまらず毛布に包まり暖房もつけてホットカーペットの上でじっとしていた。
おかげで海外ドラマがはかどった。
ひたすらドラマを見続ける。その間は余計なことも考えず没頭している。
合間合間に、そうか、なにがあってもこうやってドラマを見ている間は無心なら、この世に私好みのまだ見ていないドラマは山ほどある、それらがなくならない限り、大丈夫。やってける。などと自分をはげます。
とうとう夕方、お腹を完全にくだした。
ふふふ。緊張しとるねぇ。かっわいい。
もう一人の私が笑う。
が、追い詰められたこっちの私は青ざめる。
夜になってフラフラする妻に夫が言う。
「そんなにしてまで行くことないんじゃないの。なんとか事情つけて・・・」
「いや、行く。ここを乗り越えたらなにか開ける気がする」
たかだか、昔の知り合いと食事をするだけだというのに。
とても恐ろしくて怖いけど、一歩踏み出したいのだ。
「木曜、早く帰るって言ったけど、途中で仕事が切れないといけないからいっそのことテレワークにしようか」
「たーすーかーるー」
母が旅行中なので夜二件の家にだれもいないと不用心だから早く帰ってと頼んだのだった。
テレワークで家に居てくれるとなると、なにかと心強い。
出かける直前、緊張ピークのなか、いってらっしゃいと言ってもらえる。帰ったら必ず夫が家にいる。おかえりと迎えてくれる。
普段なら「居てほしいのは夕方だけなんだから、いちいち休むことない」などと可愛げのない妻も差し出された手にすがる。
「意地っ張りの私も帰ったらあなたが家にいると思うと安心する」
「オッケー。じゃ、やっぱりテレにするね」
夫に素直になると言う点に関しては、今回の件で確実に一歩踏み出せた・・気がする。