毛布と暖房

朝、リビングに降りて行くとテーブルで息子が寝ていた。

食器は空だった。風呂にも入ったようだ。

そういや昨夜、ポテトチップとビールを買ってきたと言っていた。

いい気分でそのままここで寝てしまったのだ。

「ほら、二階で寝なさいよ」

「やってもうた」。

すんなり目覚めた。

「昨日さ、親父が飲んで帰って来たとき俺、ここですでに寝てたらしくてさ」

夫は昨夜、飲み会だった。

「今日もしかしたら飲み会入るかも。たぶん。飛び休明けだし。金曜だから」

ふーん、決まったら連絡してねと送り出し、息子にそれを話すと「なんで飛び休明けだと飲み会になるんだ」と言われた。

「確かに」

「またやられたな、もっともらしい理屈をつけて誤魔化された」

その夫から早々と、午前11時に飲み会が入りましたとラインが来た。

この迅速な連絡、自分から誰かを誘っているのではないかと、息子と二人、疑っている。

「でさ、相当酔っててさ、散々絡んでべらべら喋って、二階に上がって行ったその時、暖房消したみたいで、夜中寒くて目が覚めてまた暖房入れてここで寝た記憶がある」

つい先日、同じように息子がここで寝た時には、夫は息子に私の膝掛け毛布と昼寝用の肌掛け布団をぎゅうぎゅう包み込むように巻きつけ、暖房もつけたままでその場を去り、幼児じゃあるまいしと私に呆れられた。

 

「え、じゃあまた私の毛布かかってたの?」

慌てて自分の椅子に置いてあったものを取り上げ、青年の汗と皮脂の臭いがついてないかとくんくん嗅ぐ。

「いや、かかってなかった」

青年臭はしなかった。

「ふふふ。酔うと本性出るって言うからねえ。電気代節約のため息子がそこに寝ていようが放置」

あいつ・・苦笑いする息子。

「気をつけましょう。私たち、いざとなったら見捨てられるわよ。あの人、自分だけ生き延びるつもりよ。」

やりかねんと大爆笑。

二人で力を合わせて生きていこうぜと、笑う早朝5時。