摂食障害を告白した彼女に誘われ、今月末、大学時代アルバイト仲間だった四人で会うというのに行ってみようかと思っている。
温かい人たちだった。
それぞれそれなりに社会生活は送っていたが、当時のバブルに乗り切れずにいた。この仕事場に来ると似たような人種同士ホッとした。自分らしくられた。
この人たちの集まりは以前もあったが、それは逃げた。
もう昔の自分を知っている人たちとは会えないと思っていたのだ。
それほど自分がみじめだった。
今。
おそるおそる、彼らなら、きっとまた温かい空気感のままそっと入っていけるような気がする。
そしてきっとそうなのだ。
「ちょっと顔をだすだけでも、ドタキャンしてもいいようにしておくから」
彼女はそう気遣ってくれているが、心の奥底では行こう、とほぼ決めている。
しかし、おそろしいことがある。
その中の一人の当時の青年が私を初恋だと告白してくれた人なのだ。
彼のイメージの私からかけ離れた今現在の私をみて「え」とした表情をするだろう。
それが、つらい。こわい。
口の横には弛んだしわ。目は落ち窪んでいる。
これをさらすのか。
一度さらしてしまえばなんてことない、新しい私としてインストールされてしまえば。
彼の中の初恋の人だった自分にしがみつく。
手放そう。あれは幻想。今は現実。
今を突き進む第一歩は彼の夢を恐れずぶち壊すこと。
昨晩夫と二人の夕飯時に
「この外見で出ていくのがこわいんだよね」
と私にしては珍しく素直につぶやいた。
「ああ、だれも歳とるとねぇ」
ちがうだろ、そこは嘘でも「大丈夫、今も魅力的だ」と励ますとこだろ。
「もういい。万が一今度は二人で会いましょうって誘われたら行ってやる。デートしてやる」
「僕もついてく」
「それじゃデートにならない」
誘われるわけないってのに。自分をそうやって励ましている。