外す

朝起きてきたら夫がリビングでラグビーワールドカップを観ていた。

日本が帰ってきた時点で終わった私のワールドカップは夫の中ではまだまだ続いていた。

そうか。準決勝。ラグビーファンにはここからがクライマックスなのか。

それでも面白くない。

昨日の夜は2時まで録画していた警視庁24時をみていた。私がトイレに起きた気配に慌ててテレビを消して「もう寝るから」と布団に入り、寝た。布団に入ったその瞬間から深い寝息を立てる。それも気に食わない。

昨日の昼はふらっと出掛けてふらっと帰ってきた。

ラジオのリスナーさんが今日は宅建の試験です。合格率が低い難関ですがこの半年、本気で勉強しました。頑張ってきますという投稿をして読まれていた。

今日の1時から。

・・・。

あいつめぇ!

土曜は飲んできた。勉強なんかなにもしてない。TOEICも然り。教材をセットで買って開封もされずに山になっている。

奴は教材を買いさえすればそれが自動的に頭にインストールされるとでも思っているのか。

きっと今日もその難関試験に無勉強で行ったのだ。

趣味にするのもいい加減にしてほしい。

そして、理解できない。

「今日、どこに出掛けたの」

夕飯時、聞いたのは息子だった。

「ちょっと大学へ・・」

苦笑いする夫。

ほら。やっぱり。

「大学行ってなにしてんだよ。また嘘つくんじゃねぇよ」

いやいや。本当だ。息子よ。本当なのだよ。

「大学は試験会場。宅建の試験を受けに行ったんだよ」

私が答えた。

「ふふふ」

ふふふじゃないっ。

「なんだよ、なんの勉強もしてないじゃないか。英語だってそうだろ。毎日遅くまでテレビ観てただろ。自分勝手もいい加減にしろよ」

もう、この人は制御不能。どこまで行ってもこの人なのだ。

そう。私がどこまで行っても不器用な私であるように。

もう夫のこういうの、解放しようかと思う。

私のイメージする何かに照らし合わせて何かを期待しているから、多分、いちいちそこからズレてる夫に腹を立てるのだ。

私自身をジャッジするのをやめるように、私にまつわるもの、人、全てジャッジしない。

あるが、まま。

その、まんま。

訳のわからない夫と訳のわからない私。

しっかり者で繊細な息子。

それが私の世界。

そう考えたらなんだかすごく、楽になった。

また一つ、枠を外した。

どんどんどんどんはずしていく。

こんなんでいいんだろうか。

でも楽なのが一番いい。もうなりふり構わず。楽が一番。