敬老の日

昨日の敬老の日、お寿司とるから食べに来てと息子にいかせ、姉の好物のササミのフライと息子の好物のナスの天ぷら、長芋のフライ、夫と母の好物の唐揚げを揚げまくり、ワインと寿司と山盛りフライで祝った。

お寿司が美味しく、会話が楽しく、何よりリラックスしている自分が嬉しかった。

母に対する葛藤もようやく溶けたのだ。恨みも怯えも恐怖もなかった。無防備に言いたいことを言い、嫌な言葉には自動的に耳を塞ぎそれでも心がざわつかずお開きとなり、ちっとも疲れていなかった。

「いい敬老の日だったわ」

帰りがけ、ヒョイと戻ってドアから顔を出して呟いていった。

母も似たようなものを感じたのだろう。

計画も献立も何も考えなかった。

やるか、と急に思い立ち、急に声をかけ、みんなを集めた。

バラバラありあわせのコップに取り皿、揚げ網のままデンっと真ん中に置いたフライの山。ささみのフライに天ぷらに唐揚げなんてめちゃくちゃだし、サラダも汁物も面倒だから作らなかった。

これでいいんだな。

母のように全て手の込んだ料理に美しいテーブルを目指していたときもあったが、これでいい。こんなんでいいならまたやろうと思える。

しつこいが、そう自然に思えて疲れていない事実が何より嬉しい。

いい敬老の日だったのは私の方なのだった。

母よ私がここにくるまで元気でいてくれてありがとう。

弱々しくなっていなくてありがとう。相変わらず憎たらしくいちいち口をはさみ、うるさい。そのエネルギーのままでいてくれて、ありがとう。

間に合った。ぎり、間に合った。

そして、この世に私を引っ張り出してくれて、ありがとう。

生きるって大変だけど、やっぱりいい。

あのアスパラみたいだった彼岸花、咲いた