お説教

夫から飲んでくるという連絡が入った。

この前、飲み会などないのに自分が一杯やって帰りたいもんだから飲み会が入ったことにして、いつも嘘をついていること、気がついているんだとと指摘したらあっさり笑って認めた。

嘘は一番嫌だ。

「息子だって高校の反抗期でも嘘はつかなかった。ネットで知り合った知らない大学生たちと夜、繁華街にカラオケしに行ったときも、反対されても嫌だってぶつかってきたよ。なんか口実つけて出ていくってやり方だってあったのにそれだけはしなかった。怒って暴れるとか口を聞かないとか壁に穴あけたりドア壊したり、いろいろあったけどいつだって真っ向勝負で向かってきたよ」

嘘をつくなと説教した。

小さな嘘でもそれを続けて容認していると「この人は嘘をつく人なんだ」と頭の隅で思ってしまう。それが嫌だ。

「はあい」。

それからやたら堂々と「食べて帰る」「飲んで帰る」と連絡が入る。

「今日は本当の飲み会。研修の講師、うまくいったよ。ご飯いりません」

今日は本当と言ってのける。彼のこういう単純さが好きだ。

「研修成功おめでとう。ご飯、了解です」

お疲れ様のスタンプと送信した。

ありがとうと、クマが両手を上にバンザイした返事がきた。

よかったね。楽しんでおいで。

そう思ったが、それも送信するとまたいい気になって弾けてりから心の中に留めた。