超えてくる男

夜、相変わらず私は家族より先に寝る。

昨日の日曜は全くそれぞれだった。

夫は朝食後、2階のベッドでゴロゴロ。それなら私もと一階のリビングでダラダラ。

息子は3時近くに起きてきて「これからちょっと出てくる」とのんびり買い物に行った。

6時半に一番風呂に入り、夫と二人、夕飯を食べる。

ビールの酔いが醒めるのが勿体無くて、ふわふわしているうちに早く寝た。

息子が帰宅し、夕飯を食べているのを尻目に二人に向かって「そこで寝ないように」と言い残し寝室に向かったのはまさかの8時半だった。

小学生でもまだ起きている。それでも布団に入るとストンと眠ってしまった。

目が覚める。ものすごい夜中のつもりで時計を見るとまだ11時だった。

二人は当然、宵の口と起きているに違いない。

階段から下を覗くとやっぱり灯りがついている。テレビの音もする。

息子はフレックスタイム制だからいいとしても夫はまた明日から勤務じゃないか。

「早く寝ろー」

上から大きな声を出した。

「はい、すんません」

近いところから返事がする。

「いいかげん寝なさいよー」

「はーい」

あれ。

「どした?」

息子が上がってきた。同時に「すんません、もう寝ます」と背後から聞こえる。

やだ、もうベッドにいたのね。寝ぼけて返事してるんだ。・・にしては随分はっきりした返答だ。

あ!

「こらっ。ベッドの中でTVer観るんじゃないっ」

「ごめんなさーい」

真っ暗な部屋の中から夫の声がした。

息子が喜んでわざとらしく突っ込む。

「エェッ!?布団の中で?携帯持ち込んで?ドラマ?信じられなーいっ!」

「ごめんなしゃーい、もう寝ますぅ」

まったく、もう。

あまりのことに一応、プリプリ怒ってみせたが、子供か。

「おやすみなさい、トンさん、もう寝ますぅ」

・・・。

「おやすみなさーい、トンさーん」

まったくもう。

何から何まで想像を超えてくる人だ。

まったくもう。

ヘンテコ家族。