先輩

朝、公園を歩く中に顔見知りができてきた。

ラジオ体操のとき、仲間がいくつかあってそれぞれ固まっておしゃべりをしている。

その数分前、少し早く出てきてひとり歩いている人もいるようだ。

あちらが私に気がつき会釈をしてくれた。

通い始めて一年、よく見る顔だと認識された。

少しうれしい。会話はしない。その方が気が楽だ。

母より若いか、同じ世代か。

可愛らしく元気。でも若輩者から見れば全て乗り越えてきたベテランだと思う。

ときどき聞こえてくるのはオオタニくんの話。すごいね、ではなく、頑張ってるね、大丈夫かしらね、休ませないと、あの子はそういう子だから、と視点が保護者。

そういうふうになるんだなぁ。

自分もかなり大人のくせに、大人の会話ってこんなふうなんだと聞く。

今朝も、体操終わり、並んで帰る彼らが近くにいた。中に、お辞儀だけの挨拶を交わすあの御婦人もいる。

あたしね、ひとりで歩いてるとつまんないから楽しいこと探ししてるの。

品よくにっこり会釈をしながらそんなことしてるんだ。

虹探しとか。さっき雨降ったからあっちのほうに見えないかなあっとか。

アハハハハハと笑う。

素敵。あのとき、そんなこと頭の中で思ってたの。素敵な人。

するとまた聞こえてきた。

あとはお金とか。お金、落ちてないかなーって下見ながら歩いてる。

か、可愛い。

おしゃべりしたこともない彼女、ぐっと好きになる。