贅沢な一日

昨日、息子は眠り続けた。

朝、一度起きてきて水を飲む。

「大丈夫か」

「大丈夫よ。」

「楽しんどるか」

「ありがとう。楽しんどる。」

「水を飲め」

「はーい」

そう言ってまた2階に上がって行った。前日に名古屋に行くのを中止してかわりに近場で遊んでくると言っていたので、てっきりベッドでiPadを眺めながら今日はどこに行こうかとあれこれ調べているのかとばかり思っていたが、一向に降りてこない。

結局夜の8時まで眠り続けた。

朝、散歩から戻ってラタトゥイユと先日の誕生パーティで残った赤ワインに玉ねぎじゃがいも、冷凍庫にあった鶏肉を足して煮込んでみた。少しだけ小麦粉をバターで炒め、やっぱり少しだけ残っていたカレー粉を入れ、とろみをつける。ワインの風味が強すぎてトマトとウスターソースを加えた。

あんまりいじいって取り返しのつかないことにならないよう、そこでやめた。

今夜はこれに母からもらった成城石井のハンバーグにしよう。

ワイン煮に自信がないものだから、成城石井に力を借りる。あれがあればみんな喜ぶ。

自信がないくせになにかの一品のごまかしになればと母のところにタッパーに入れて持って行った。

「ありがと。きょう、買い物行く?」

一瞬、う、となる。散歩から帰った勢いそのまま台所に立ち、足はジンジンしていた。

朝一番にやったのはこれからのんびり朝食をとり、丸一日、家にこもるつもりだったからだ。

夫もでかけ、息子も寝ている。わたしものんびりしようと思っていた。

しかし、母が「今日買い物に行く?」というときは、買ってきて欲しいものがあるときで、それはあってもなくてもいいものではない。

もし私が「行かないよ」とここで言ったら「ああそうなの」と言って自分で買いに行く。

「行くよ」

「お姉さんがあした、胃の検査なのよ。柔らかいものならお肉でも食べていいらしくて、おうどんがいいっていうから。豚の・・・もも、、脂肪の少ないところ、200くらい、買ってきてくれない」

「いいよ」

「ロースはやめてよ。モモよ。急がないから、夕方まででいいから」

時刻は11時。これからどんどん気温は上がる。頭の隅に買い物をおきながらじゃなんとなく、おちついてまったりできない。今のうちにと、そのままスーパーに出かけた。

ついでに自分のうち用にヨーグルトと枝豆、鶏胸肉をカゴに入れる。母にスイカを買っていってやろうかと迷ったが背中と首がまだ痛むのでやめた。

持っていくと「あら早かったのね」と喜んだ。

遅い朝ごはんを食べながら海外ドラマを観る。それから読みかけの本を読み、目を閉じてラジオを聴く。ソリティアを飽きるまでして、また本を読む。眠くなってエアコンを消し、2階にあがりベッドに寝っ転がった。二階はもうっと暑い。急いでエアコンをつける。

昼下がり。やらなくちゃいけないことなどなにもなく、ソリティアYouTube、海外ドラマ、ソリティア、うたたね、テレビ、うたたね、ソリティア

夫が帰ってきた。横の机でなにやら調べ物をしている。

「息子、今日は朝からずっと寝てて、まだなにも食べてないんだよ」

「え、具合悪いの」

「なにいってんの、自分だって新婚のとき、毎週3時過ぎまで寝てたじゃない」

「そうでした。そうでした。ごめんなしゃい」

それきり、同じ部屋にいながら私はごろ寝、夫はなにか読んでいた。

夜の8時。息子が起きてきた。

夫と私は先に食べていた。成城石井は1日寝ていていきなりハンバーグは重いかもしれないとやめた。鯖を焼いた。夫には枝豆があれは機嫌がいい。

家が活気づく。

ビールでほろ酔い気分のところに、夫と息子の会話がある。

地味な地味な日曜日。

なのに、たっぷり豊かな日曜日。