送り火の夜

あまりの暑さに昨日は「今日は生きているだけでいい日としよう」と自分に言う。

エアコンの効いた部屋からトイレに行こうとドアを開けて出ただけでそこは灼熱。

これの逆の感じ、大晦日にあった。トイレに行く時、ぬくぬくした部屋から出るとそこは極寒。

部屋から出て2階に上がるなんてのはもう、決死の覚悟だ。

家の中にいるだけでも「生き延びろ」と緊急事態警報が頭の中で鳴る。

エアコンがあって、本当にありがたい。

友人の娘さんが秋田で一人暮らしをしている。気になる。秋田のどこだろうか。洪水、浸水、動けなくなっている車があるとラジオで言う。大丈夫と聞いたところで私が何をできるでもない。友人も聞かれたところで彼女こそ、情報を集めているところだろう。

その友人も、住んでいるところは埼玉で最高気温が38度と表示されている。

二人とも大丈夫だろうけど、大丈夫だろうか。

結局今は祈るしかできない。

子育ての時にもよく思った。最後は祈りだ。

私は私の状態をよくしておこう。

麻幹を買いにスーパーに行く。梅沢富美男さんのコンサートから帰宅した母は元気元気。よろっともしていない。

「やっぱりこっちの方がいいわね。さっさと燃える」

息子も参加しての送り火に母は少し嬉しそうだった。

夫が義兄と夕食を食べてくるのでいないと聞いて

「じゃあ今日は二人のご飯ね。いいわね」

と息子に言ってから

「あ、そう言う意味じゃないのよ。いつもと違って楽しいわねって言う意味よ」

と加えた。そしてまた

「あ、楽しくてってそういう意味じゃないのよ。」

とこれまた修正していた。

近所のおじさんが水を撒いている。

涼しさも静けさもなく、猛暑の余韻の残る夕方、もうもうと煙が上がっていった。

私は不思議と穏やかだった。

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あまりの暑さになりふり構わずの私だが、彼女の周りには高原の風が流れている・・。