70年の時空を超えて

本展では、新たに発掘された作品による大規模なカラースライド・プロジェクションや未公開のモノクロ写真、絵画など最新作品群を含む400点以上の作品を紹介。これまで紹介していなかったライターの知られざる素顔と、「カラー写真のパイオニア」と称され世界中を驚かせ続ける色彩感覚の源泉に迫る。

 1946年、ライターは画家を志して、当時、芸術の新たな中心地であるニューヨークへと向かった。現地で意欲的な若い芸術家たちと交流するなか、写真の表現メディアとしての可能性に目覚め、絵筆とともにカメラで自分の世界を追求していくようになった。

美術手帖 4・18 より

 

 

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↑下に写っているマスクの人は干渉している2023の人。


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ダイナーの窓を外から。中でお茶を飲んでいるのが見える。

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雪のニューヨーク

 

ソール・ライターの写真展を観に渋谷ヒカリエまで行ってきた。

偶然観たドキュメンタリーでこの人を知り、その作品と生き方と人柄が好きだと感じた。

いい加減な私はそれっきり。それから追求するでもなく、調べるでもなくまたぼんやり日常を続けていた。

歯医者の帰り、二子玉川の駅に見覚えのある写真のポスターがあった。

どこかで観た。

やっぱり懐かしく、心の中心の奥底の方が共鳴する感じ。

ソール・ライターって誰だっけ。

彼だった。

それまですっかり忘れていたくせに、自分の居場所のような気がする。

会いに行きたい。

あそこが呼んでいる。

なぜこんなに引っ掛かるのか、自分が写真に興味や知識があるわけでもないのに。

ただの思いつきなだけで、勝手にシンパシーを覚えた気分に酔っているのかもしれない。

行かなくてもいいのだ。

行く必要があるのか。

行って、何かためになるのか。なんのために行くのか。

自問自答すればするほど、意味のない思いつきのように思えてくる。

 

ハズレだっていいじゃないか。

無駄な時間と体力の消費でいいじゃないか。

そんなに気負わず、「あ」と感じたなら「ヒョイ」といってみよう。

 

それで行ってきた。

よりによって最高気温37度の東京。あまりの暑さにまたもやバスを乗り違えた。

久しぶりの渋谷はもう、未来都市と化していた。私がうろついていた渋谷ではない。

 

よかった。

写真展は、何をどう表現したらいいのか。陳腐な言葉しか並べられない。

ただ、魂が「これこれこれ、これよ〜」とはしゃいでいた。へえ、こんなのが好きなの。と自分でもびっくりするほど、その世界に興奮する。

1950年代から60年代、の写真が多かった。

ニューヨークの街角に立って、日常の一部分を切り取っている。

有名人でもなんでもない、ただ普通のニューヨーカーの姿がそこにある。本当に生きてそこに生活していた人たちの一瞬。

展示してある写真はどれも撮影が許されていた。

気に入った数枚をiPhoneにおさめた。

未発表の作品ばかりなので70年前に自分がソールに撮られていることも気付かず立ち話をしたり新聞を読み耽ったりしていた人たちがそこにいる。

まさか70年後、アジアの国の近未来都市のようなところで誰かの小さな小さな何やらカードのような電話のような魔法のカードのようなものの中に自分の一瞬が記憶されるとは想像すらしていなかったろう。

時空を超えて繋がっている存在がある。不思議な濃密な時間だった。

 

ソール・ライターの原点 ニューヨークの色
会期:2023年7月8日〜8月23日
会場:ヒカリエホール ホールA
住所:東京都渋谷区渋谷2-21-1 渋谷ヒカリエ9F
電話番号:050-5541-8600
開館時間:11:00〜20:00 ※最終入場は19:30まで
休館日:未定
料金:一般 1800円 / 大学・高校生 1000円 / 中学・小学生 700円

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