夫が交通事故を起こした。2度目だ。
前回は家族に内緒で千葉にドライブに行き、その行った先で車とぶつかった。
かすった程度で隠そうとしたのが警察からの電話のやりとりを息子に見つかってバレた。
内緒で千葉にいたこと、事故を隠そうとしたこと、どちらも私を逆上させた。
それも最近のことだったから今回のこれは堪えた。
今回は玉突き衝突の真ん中で、夫が車間距離を詰めすぎていたため、雨で滑った地面でブレーキが効かず、コツンと前の車両にぶつけてしまった。そこに後ろの車も間に合わずにコツン。
主に、夫が悪い。のだと思う。本人も否定はしない。
「これから救急車で一応腕が痛いから見てもらう。また連絡するから」
それだけ言って電話を切る。切られたこっちはたまらない。夫の骨が折れていたら厄介だ。病院に着替えを持って入院手続きだろうか。それよりもどなたか怪我をさせたりしてはいないか。こちらのミスとなると車の保証もしなくてはならないのではないだろうか。
保険で済むとしても誰かを傷つけたとしたらそれでよしとはいかない。相手の方にお会いして謝りにいかないと。
事故直後で声が興奮していたので「落ち着け」と夫にラインを送る。
ありがとう。・・に続いてパンダがOKサインをしているスタンプがきた。
パンダとか送ってくるな!
息子が帰ってきた。
「またやったってよ。事故」
「またかよ。もう車やめさせろ。」
幸いなことに誰も怪我をしていなかった。
後ろの車には小さな子供と奥さんが乗っていたという。その二人も無事だった。
後から詳しく聞けば聞くほど、車の衝突だけで済んで本当に良かったとゾッとする。
しかし当の本人は私たちに大騒ぎをされたくないからか、心の底からそう思っているのか
「怪我人もいなかったし、保険で全部済むし、あとは保険会社同士がやってくれるように手配するから。警察も入って互いに訴えないと言うことで物損扱いで済みそうだから」
とハキハキ事務的に繰り返す。
自分自身に言い聞かせているのか、怒られたくないからなのか。
「ことの重大さがわかってないっ。そういう問題じゃないでしょうっ」
「はい」
車が戻ってこないので母と姉に隠しておくわけにいかない。説明に行く。前回のこともあるので夫が呆れられるのが嫌だった。
母は「車があるからいつも出歩いて家をほうったらかしにするんだなあと思っていたのよね。廃車したら」と言った。
そしてだいたいあの人は、あなた達はと語り始めたので「お騒がせしてごめんね」と退出する。
息子は夫と口をきかない。
夫はそれをなんとかしようと意味なく話す。テレビを見ながら笑う。それがまたわかっていない。
「喋るな。この空気を感じて、しばらく反省しなさい」
ヒーン。
だからそういうの、やめて。
そういうのやめろっていってんだろっ!何考えてんだよっ!どういう神経してんだよっ!
二人同時に冷たくピシャリ。
少し、しゅんとした。
「おやすみ。あなたも早く寝なさいよ」
あまりのことに疲れた。夫はきっともっと疲れたろう。
階段を上がろうとする私を追いかけてきた。
「トンさん、ごめんなさい。心配かけて」
「はい。」
心配したんじゃない。ガックリきたんだ。
今回の私は夫を責め立てなかった。そんな気力もなかった。怪我人がいませんようにと祈るのが先だった。
夫からの連絡を待つ間、父に祈った。
全員未傷と知り、母に連絡しに行った時、仏壇に手を合わせお礼を言った。
お守りくださってありがとうございました。