大学の友達からトマトが届いた。
真っ赤にうれてパチンとはち切れそうだ。
甘い。
半分、冷凍した。
半分、母に持っていく。
「まあ、こんなに。立派なトマト」
「箱でもらったから。甘いよ」
なぜか私が得意になる。
彼女は一人暮らしをしている。一級建築士の資格をとり、宅建の資格をとり、建設事務所で働いている。
同じ大学の同じ学部の同じ学科でこうも正反対の暮らしをする私たちがこんなに続くとは思ってもいなかった。
それほど深い中だったわけでもないが、要所要所の大事な部分にはいつも彼女がいた。
夫との結婚を決めたと報告すると、会ってやるから連れてこいと言われた。
居酒屋で一緒に食事をすると「いいやつじゃん」と喜んでくれた。
倒れて入院した時、福島から飛んできてiPodに音楽をたくさん入れたのをくれた。
彼女がそんなふうにしてくれることが意外だった。
それほど私は自分は一人だと殻に閉じこもっていた。
頭脳明晰でバリバリ仕事をこなし市民マラソンに参加する彼女を私は眩しく思う。
餃子を包みながらテレビを観ている私を彼女は「そういう暮らしいいなあ」と言った。
互いに互いをいいねと思いながら「やっぱり私はこの生き方だ」ともわかっている。
遠く離れたところにいる家族のようだ。