静寂の中

できるだけ、情報を入れたくない。

朝のラジオで年に二回から三回、なんらかの芸術的活動に参加している人は死亡率が少ないという話をしていた。2ヶ月に一回でも美術展や観劇などを楽しんでいる人は30%、低いそうだ。

この前はボランティア活動をしている人は長生きをするとやっていた。

その前の日は声を出して笑っている人。

その前は好奇心旺盛な人。社会的コミュニティに参加している人。趣味のある人。

毎日肉を食べている人は鬱になりにくい。魚は血をサラサラにする。一日8000歩。

活字を読む人。

きっとこれらは高度成長期直前の日本で、家事をやり、原っぱで子供と駆け回り、ラジオを聴いて笑い、八百屋や魚屋、ご近所さんと世間話をし、新聞を読んで、毎日味噌汁と魚か肉を食べ、時々のお楽しみで観劇をしていれば難なくクリアできるんだろう。

こんな簡単なはずのことが今の私には自然にできない。

取り入れようとすると右手右足が一緒に出てしまう。

声を出して笑わなくちゃ。

そんなことすら難しい。

食べて、寝て、笑って。

できるだけシンプルに生きたい。

この上、流行の服とかなんだとか、手が回らない。

Twitterを見ていると神保町には新しい共同本屋ができている。

歯医者の帰りに寄った二子玉川にはおしゃれで便利なキッチングッズが並んでいた。

目に入ってくると、ふわっと気持ちが上がる。

それは私を駆り立てる時もあれば、追い詰める時もある。

新しい映画、新しい店、流行りのカフェ。

欲張ってあれもこれもと心が騒ぐ。

パチン。

タブレットもテレビも切る。

 

・・・それはそれで寂しいのだ。

軟弱者め。