待ち人おらず

図書館から借りた本が思いのほか面白かったので、これはゆっくりゆっくり味わいながら読みたいと延長手続きをすることにした。

ホームページから申し込めば、待っている人がいない限り2回まで延長が許される。一回につき二週間。つまり最大、1ヶ月近く手元に置いておけるのだ。

借りたのは三冊。一冊は読み終わっているが、返す時期が一緒の方が楽だから、あとがつかえてなければ、全部延長しよう。

マイページから借りた本のリストを開き、借りている本のところにチェックを入れる。

延長というボタンを押して、下に画面をスクロールして登録をクリック。

ところが本のタイトルの横に延長できませんと赤く表示された。

だめか。他に待っている人がいるんだ。

と、すぐ脇に黒い文字で小さく何か書いてある。

延長の必要ありません。3冊ともそうなっている。

えっと。どういうことだ。

つまり、誰も待っていないし人気の本でもないし、この数年借りたのはあなたくらいだから、気が済むまでお好きにどうぞということなのか。

そういうことか。

なんだか寂しい。

けれど同時に得意な気分。

みんな知らないんだなあ。ここにこんな面白い本があるのに。

気がついてないんだなあ。

秋まで借りててもいいんだろうか。

来年まで借りてていいんだろうか。

いつまで借りてていんだろう。