規格外

昨日の診察はやはり、私を選んだようだった。

待合室に行くと誰もいない。えっと思う。

そしてすぐ呼ばれた。

もうどうでもいいや。入室すると若い女性と後ろに中年男性がパイプ椅子に腰掛けていた。

授業参観の時の担任の先生のように、担当医もいつもと若干違う。

先生も気取るんだな。先生の人間らしさを感じてちょっと嬉しい。

結局いつものように最近の思ったこと、感じたことをペラペラ話す。

「自分はもともとが不完全に生まれているんだってやっと気がつきました。人が普通にできることができないのも仕方ないなと」

その返答に困ったのか先生はじっとこっちを見る。

「哲学や宗教的観念でではなく。人間は不完全とかいうのではなく、私という人間はどちらかというとどこか不完全に生まれついたんだと。・・・標準ではないというか」

そこで先生がすかさず

「標準じゃない。そうね、それですね」

とおっしゃった。

う。やはり。自分で言っておきながら少しぐさっときた。

でもやっぱりそうなんだ。

「だからその割にはこの社会で頑張ってるなあと思うようにもなってきて」

研修生は後ろでメモを取る。

おいっ記録はしない約束だろっ。・・ま、いいか。

標準じゃないとお墨付きをもらって何故か気が楽になった。

規格外の私。可愛がっていこう。