息子が朝、トイレに起きて手を洗いに洗面所に降りてきた。
ラジオ体操に行く身支度をしていた私に「おう」と声をかける。
「体調はどうだ」
彼は朝一番必ずこう聞く。たぶん私がどんなに健康になってもこれから先もずっとそう聞くのかもしれない。
もう隠さないでくれと言われているようで少し、申し訳ない気持ちになる。毎朝。
「大丈夫だよ、ありがとう」
「今、恐ろしい夢をみた」
「あら」
「何かに追いかけられている夢だった。必死で逃げてるんだ、恐怖を感じながら」
そういえば昨日の午後、スマホを眺めながら「また明日から仕事が始まってまたあいつにいろいろ言われながらやるんだなぁ」とぼやいていた。あえて聞こえないふりをしていたら「ま、大丈夫っしょ」と自分を励ましていた。
「夢で追いかけられたら実生活では追われないって言うから大丈夫よ」
そんな伝説聞いたこともないがそういうことにする。早い話がでっちあげる。
でっちあげてでも、したり顔で言うことがここは重要。
「そうか」
「そうよ」
そのまま二階に上がって行った。
どっちが正しいとかではなく相性の悪い相手と絡みながら毎日仕事をするのは苦痛だろう。
夫も息子も明日からそこに戻っていく。
今夜は連休最終日なのでピザをとる。先日の夫のピザ注文時の失敗のやり直しでもある。
たらふく食べて、気持ちよく酔って、笑って過ごそう。