僕も行く

朝。雨が降っているのでぐずぐず布団にくるまっていた。

頭が痛い。体も重い。今日はラジオ体操はお休みしよう。雨が降っても屋根のあるところに集まっているおじさん達の顔が浮かぶがその気になれない。

いつもは散歩をしながらのラジオ番組も、ベッドの中で聴いてみるとそんなに面白くない。

わたしのコンディションのせいなのか、パーソナリティがお疲れモードなのか、それともやっぱり歩いているときの暇つぶしだからよかったのか。

7時になった。雨は束の間、止んでいる。またしばらくしたら降り始めるだろうけれど、やっぱろちょっとだけ歩いてこようか。そうだ、昨日買ったあの本を持って、ドトールで読んでこよう。

少しだけ気分が上がる。

そっとベッドから降りた。

「おはよう」

きょうは出かける予定がない夫が起きていた。

「トンさん、散歩、一緒に行っていい?」

う。一瞬言葉に詰まる。

「いいけど・・・」

二人で朝の緑道を歩く。

ついてきたいと言った割に夫はなにもしゃべらない。

並んでただ歩くふたり。

ひとりじゃないからイヤフォンをするわけにもいかない。そうかといって、片方を彼に渡して右と左と半分づつ聴くのは嫌だ。

無音の空気を気づまりに会話を探すほど気を遣う相手でもない。

ただただ歩く。

ときどき義父の体調の話や墓の相続のことなどを事務的な情報交換と確認をする。

そのままコンビニに寄り野菜ジュースとゼリーを買って家に着いた。

「楽しかったなあ」

玄関で夫が満足げに言った。

楽しかったのか。

私は・・・数時間経ってから「よかったかも」となってきた。

ウキウキしないけれど、落ち着いた、でもめんどくさい、ちょっと退屈な朝の散歩。