これが我が家

寄り道の14000歩が祟ったのか、春の気候のせいか、しんどかった。

寝込むほどではないから台所は立つ。立ってはいるが、何から始めたらいいのか、考えがまとまらない。

とりあえず唐揚げと揚げていたら焦げた。

木、金と10時過ぎに夫が「飲んできます、ご飯いらないです」とドタキャンを連発したのもやる気をなくした要因だ。

お盆にすべてセットしてあるものをひとつひとつラップして冷蔵庫に入れる。

もうやってらんねぇ。

「明日はお父さんがピザを取ってくれるって」

土曜の晩、言った。珍しく日曜は家にいるというので勝手にそういうことにした。

ピザでもとって楽したいなあと思っても夫と息子の食卓に揃う時間がバラバラでそのうえ不規則なものだから滅多にチャンスがない。

それに家族揃って何かするということが少ない我が家、久しぶりに全員揃う夕飯を華やかなものにしたかった。

「え、そうなの」

「いいよ、今、決めた、父さんがとってやる、ピザな」

ところが翌日の昨日、日曜の夕方になって揉めた。

いよいよ体がしんどくて私はゴロゴロ横になっていた。

「私は自分で好きなもの食べるから二人で注文して」

ポストに入れられていたメニューを見ながら一緒にどれにするか男チームは相談する。

「Lサイズ2枚って多いかな」

「だから2人で決めとくれ。二人がそれでいいならいいから」

夫が2階に上がり携帯のアプリから注文をした。そこからだ。

アプリを使ってMサイズ2枚頼むと今なら次回1000円引きのクーポンをもらえると知った彼はその場で頼むものをM2枚、L1枚に変更した。

それは量も多いし、本来食べたかったメニューとは全く違う味付けのものになってしまったが、夫にとっては味と量よりクーポンが大事なのだ、なんの迷いも相談もなく、そうしてしまった。

それを知った息子が私に愚痴る。

私は夫に予定通りのものにしたらいいのにと言う。

もう頼んだからキャンセルできないと夫は突っぱねる。

そんなわけない、キャンセルできるだろっいい加減なこと言うなと息子がキレる。

わかったよ。とその場でキャンセルをする。そして不貞腐れてこう言った。

僕がお金を払うんだ、僕の好きにするんだ。

とんでもないことを言い出す夫に今度は私が怒る。

もういい、そんなら私が払う。こっちで注文する。あなたは気に入らないなら食べなくていい。

うん。

いいのね。

うん。

いいのかよ、食わないんだな。

いらない。

そのまま2階に上がって行った。

 

25、54、56の家族である。

あまりにレベルが低い争いではないか。

「放っておきなさい、本当に食べなかったとしても納豆でもなんでも好きなもの食べるでしょう。」

意地っ張りでは負けないこの妻もどうかと思う。

結局最後はピザの香りを嗅いだ夫が降りてきて「食べる」と席についた。

日曜のささやかなイベントにするつもりが強烈な記憶になった夜だった。