幸せを振り撒く男

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羨ましい。

彼はあの極楽クッションの王様、yogiboを買ったのだ。あれをこれから自分の家に持って帰り、すぐさま袋から取り出し、そこに身体を埋めるのだろう。

「おおぅ」と一人、思わず声を漏らすに違いない。

勝手に若い男子の一人暮らしと決めている。

同居人がいるかもしれない。誰かを喜ばそうとしてのプレゼントだろうか。

病人が少しでも楽に過ごせるようにとの優しさかもしれない。

恋人と別れたばかりの妹に「ほれ」と買ってやった粋な兄貴っていうのもいいなあ。

いそいそいそいそ。

振りまく空気がいそいそいそいそ。間違いなくご機嫌だった。

喜びを振りまいて歩いていた。

だから思わず振り返って彼の残したその余韻をいただいたのだった。