できた

ラジオ体操に行ってきた。たかだかマイナス2度だが、乗り越えた自分が嬉しい。

義務からでも焦燥感からでもなく「行こうっ」と思う気持ちが自然と私を引っ張った。

昨日の夕方から強風が吹き荒れ、ゴミ箱はすっ飛び、トイレも風呂場も窓のそばからも冷気が入ってきた。それをじわじわ感じながら心の中では完全に項垂れ、もう明日はダメだなと開き直っていたのだった。

週間天気予報を見るとしばらく最低気温は0、1、を繰り返す。なんと来週にもう一度マイナス1度がやってくる。見慣れぬその数字の並びに絶望する。こりゃもうこの先一週間、体操は休んで散歩は日中にしよう。

私は怖いのだ。寒気が怖いのではない。せっかく歩けるようになったこの足が、数日休むことによってまたヘナヘナの筋肉のないものになってしまうのではないか。数時間台所に立つのがやっとのあそこからやり直しになる。

私が私の友達だったらこう言う。

「そんな。もしそうなってもまた歩き始めれば力はちゃんと戻ってくる。人間、いくつになっても筋力はつくんだから。」

いっそのこと春から運動習慣をつけるための準備期間と考えればいい。焦ることないよ。

そうだ。しばらく休もう。

そう決めたら心は落ち着き、不安も消えた。

帰りの遅い息子をドラマを観ながら待つ。10時、10時半。ラジオ体操のために早く寝る必要もない。

晦日の晩みたいだ。のんびりうとうとしながらホットカーペットに転がった。

 

いつものように目が覚める。昨夜のどうしようもない怠さもふらつきも、ない。

トイレに立ち、窓から外気に触れる。

ん?

いけるかも。・・・いやいやいやいや。ベッドに戻りラジオをつける。

・・・・あれ着て、あれの上にあれを着て・・。頭の中では防寒対策のシュミレーションが始まる。

ああっもうっ。

ダメだったら引き返せばいい。やってみたいんだ。どこまでできるか。試したい。

 

で、できたわけなのである。その喜びと興奮をここに書いているのでございます。

公園はまばらだった。ラジオを持ってくる係の人数名、私に声をかけてくれたおじさん、ラジオ体操の紙をくれたイチキさん、マスクが落ちてると教えてくれた中年男性はいつもの場所に現れたが、可愛いおばあさんはお休みだった。

可愛いおばあさんが休んだことは、なぜかホッとした。あったかくして労ってるかと思うとよかったよかったと勝手に安堵する。

この感じ、小学校の学級閉鎖直前の教室のようだ。生徒が少なすぎて授業も2クラス一緒に視聴覚室で紙芝居を先生達がやってくれた。給食も今日は好きな席で食べていいよとちょっと緩い学校生活。ああそんなことあったっけ。

帰り道、コンビニのガラスに映った自分が着膨れているのが面白い。

日曜の夜、テレビで見たハイジが初回、ドイツの街からアルプスの山にやってくる時に、荷物になるからとたくさん重ね着をさせられまん丸だった、あれに似ている。

何だか今日は小学生の頃のことをたくさん思い出す朝だった。

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