隙間

隙間が空いていると何か埋めたくなってしまう。

引き出しを整理していらないものをごそっと処分したら空っぽの段ができた。

そうだわここに、テッシュとハンカチを入れておけば便利だわ。

パズルのピースみたいに、カチッと嵌めてちょっといい気分になる。あれはなんなんだろう。

基本、ぼんやりしているのが好きだ。

朝、目が覚めてその日の予定が何もないのが嬉しい。たとえ親しい友人だとしても、楽しみにしている映画だったとしてもなぜか外出、もしくは来客の予定があるとその瞬間から緊張している。

いつからだろうか。小学生の時は違った。高校も違った。大学。。後半あたりからだろうか。理由もきっかけも思い当たらないがその日その瞬間、思いついたように過ごせる「何もない日」を確保したがるようになった。

人に合わせ過ぎていたからかも知れない。自分軸なく、流されている不安感があったのだろうか。

誰かのために使った時間の残り。仕事をしているわけでもないが、大人になると誰かのために使う時間は日常にある。

その生き方を自分で選んでいるから不満はないが、それでも、残りの隙間を大事にうまいこと有効に使いたいと考える。

引き出しの隙間のように、何かいいものはないか、満足するように納得いくよう使いたい。

作り置きを作ってみたり、本を読んでみたり、わざわざ遠くの街まで散歩がてら買い物に行ってみたり、図書館、美術館。

ぐるっと回って寒い冬。今はポッカリ空いた時間を何もやることがなく、ゴロゴロゴロゴロ日向で過ごし、ラジオを聴いたり、夕飯の下拵えをしたりドラマを見て過ごす。ああ、日が暮れるなあ。と思いながらよっこらしょと起き上がり洗濯物を取り込み、風呂を掃除する。

合間合間に家族が降りてきて何か言う。

「何か食べるものある」

「何か作ろうか」

何かしないと、何かしないとと心が忙しなかったあの時期を超え、今は時間を受け止める。

全部詰め込まない流れにできた隙間は私を優しくしてくれる。