さあ今日から

通常運転が戻ってきた。

今日から男性チームは出社。溜まっていた燃えるゴミも今日から。ラジオ体操もいつもの時間に家を出た。

真面目なのではなく、怠惰だからこそ、ある程度の縛りのある日常に乗っかっている方が楽だ。

でもそれは今の私に時間を忘れて打ち込みたい何かがないからかもしれない。

海外ドラマもお笑い番組も、本も好きだが、没頭してもせいぜい2時間。全てを放り投げてやりたい事、行きたいところというのはない。それより、意味のない、ただぼんやり生産性のない時間が過ぎていくのを愛してしまう。

もっと体力がついたらもっと濃い時間を過ごすようになるのだろうか。

休みに読みたいと思っていた本も半分で終わってしまった。お正月の撮りためた録画もまだ未消化のものが数本ある。

あれもやろうこれもやろうと勢い込んでいた割にはほぼ、疲れてうとうと、もしくはぐったり朦朧で思い通りにいかなかった。

それでも非日常として夫とスーパーに行った。

往復15分、店内10分、そんな短いもので会話もしない。それでも並んで歩くのは久しぶりで満足した。この休暇のハイライトはこれかなと密かに納得していた。

「母さんにお土産買ってきた」

昨日、メガネを作りに出た息子が帰りに寄り道した店で布巾を買ってきてくれた。

中川政七商店と書かれた茶封筒。これは。あの有名な。行った事ないけど、あそこのだ。

可愛い猫のプリントがしてある、赤ちゃんの肌にも使えるほどの優しい素材でできたハンカチサイズの布巾だった。

「母さんだけ、この正月どこにも行ってないから」

夫はラグビー観戦と居眠りと新年会。

母と姉は元旦にホテルにお茶をしに、二日はデパートに。

母さん今日、どこか行くのと聞かれるたびに「うんにゃ」と返事する私を不憫に思っていたのか、ただの思いつきか、ほいっと手渡された。

不完全燃焼だった何かが全てぶっ飛ぶ。

全てが報われる。

嬉しすぎて勿体無くて、ガラス張りの食器棚にセロハンに入ったままの布巾と茶封筒を見えるように飾る。

にんまり。これが、ハイライトだったか。

神様ってうまいことするなあ。