元旦はさぼっていいことにしよう。
大晦日の夕方あたりから、そう決めていた。
ラジオ体操に行くために5時に起きて朝ごはんのしたくをセットして、ゴミ、新聞紙などをまとめる。洗濯機を回す。
普段は楽しんでいるのがこの数日、苦痛になっていた。
とりあえず行っとくか。
頑張っていけない事もない。
暮れの慌ただしさに、普段怠けているのが急に張り切ったものだから常に足が重く痛い。たいてい寝れば治るのに定着している。
風呂場でみたら浮腫んでぶよんぶよんだった。
行きたいなと思わないときはやめよう。
修行じゃないんだから。
元旦くらい。
そう決めた。大晦日の晩も普段なら9時半になったら翌朝のためにベッドに行くところ、安心してだらだらテレビをみんなで観ながら夜更かした。それも久しぶりの解放感で楽しい。
目が覚めたのは7時過ぎだった。
ラジオ体操はとっくに終わっているが、ちょっと歩くだけ出てみるかと着込んで外に出た。
門を出ようとすると、青いベンチコートを着た男性がこちらを覗き込見ながら過ぎていった。
私の姿が見えたのか、立ち止まる。
なんだろう。みしらぬ通りすがりの人が新年の挨拶をするためにわざわざ待っているのかしら。
おはようございますと声をかけられた。
反射的にこちらもお辞儀を返す。
まだ立ち止まっている。知り合いかな。あ!
ラジオ体操で私のことを「元気になりましたね」と声をかけてきてくれたおじさんだった。
行かなかったの?
はい。昨日の晩からそう決めていて、確信犯です。
おじさんはゲラゲラ笑った。
だめだよ、そういうところからサボり癖がつくんだから。行かなくちゃ。
う。内心、夫の休暇中は私も休もうと思っていた。
ふっふっふ。
行くとも行かないとも約束はせず、その場を去った。
・・・。
歩きながらぼんやり考える。
いつものコースを歩いていつもの広場に着いた。
時間が違う公園は子供たちがお父さんとボール遊びをしていたり、犬の散歩で賑わって違う景色だ。
やっとくか。
イヤフォンから馴染みのある声と音楽が聞こえてくるのに合わせて、一人、黙々とその場で体操を始めた。
物珍しそうに振り返っていくお嬢さんたちの視線もものともせず、きっちり第二までやり終えると、もう、怖いものはない気がした。
この手があった。
やはり4日まではお休みしよう。