一昨日のこと、母に隣町のおおきな花屋まで一緒にいってくれと頼まれた。
「歩いて行くの?」
「そう、ショッピングカートひいて。あなたも買いなさいよ」
私は手入れに責任がもてないので今以上は増やしたくない。花をたくさん入れた重いカートを引きずって歩くのは大変だから帰りはバスに乗らないかと提案した。
「大丈夫よっ。この前、ノンコさんと一緒に行ったもん」
・・・じゃあ、ノンコさんと行きたまえ。
ノンコさんとは近所に住む母の従姉妹である。
この母をもってさらにその上をゆくパワフルなひとで、なんでもポンポン言ってくる。世話焼きでチャキチャキで、善人なのだが、仕切り屋なので面倒がる人もいる。
そして母自身も、仲良くしているものの、自分がイニシアチブをとれないものだから距離をおきたがる時がある。
「一人で行ってもいいけど、これどうかしらって誰かと相談しながら買いたいじゃない」
乙女は威張って連れて歩くお供として暇そうな末娘を所望した。
行きも帰りも坂を登り下り、花屋は日陰で寒かった。
乙女はじっくり迷うので長い。
「これどうかしら」
「かわいいよ。ここにもあるよ。ビオラが安くなってる」
「ビオラぁ?そうねぇ」
長い。寒い。やっと決まったかとレジに向かう。
「10000円を超えると配達しますよ」
「あら、そうなの、じゃあ・・」
振り出しに戻る。
おかげで重い荷物を引きずる必要はなくなったが、バスの線は消えた。
「どうする、荷物ないし、歩くでしょ」
「いいよ」
また坂をのぼりおりて家に着いたら13000歩を超えていた。
へなちょこは翌日熱をだす。
夜中に布団を何枚かけても寒くてたまらない。そのうちカーっときた。
羽毛布団を引きずり一階に降り、ガスファンヒーターの前でホットカーペットをつけ、うずくまる。
少し温まりうとうとしたようだ。目が覚めると5時半だった。
ラジオ体操。。。
どうにもこうにも起き上がれない。
今ならまだ間に合う。・・いや、無理だ。ロキソニンを飲む。
次に目が覚めるとちょうど6時25分だった。薬が効いたようで頭がスッキリしているのがわかる。あ、コロナじゃないとホッとする。
起き上がり、部屋を明るくし、ラジオをつけた。
いつものあの明るい声と音楽が流れる。
ひとり、暗い部屋で体操をする。そうっとそうっと、形だけ、無理しないで。
運動になっていないような動きだが、形だけなぞると安心した。
いまごろあのおばちゃん、イチキさんもポットのおじいさんもやってるんだろうなあ。
心は共に。部屋のなかでぴょんぴょん飛んだ。
乙女は本日は二子玉川でランチだそうだ。元気に遊んでくれることがなによりありがたい。