自分を溺愛してもいいかも

納戸崩壊修復の晩からはじまった浮腫みが殆ど引いた。

ズボンが苦しかったのと、目の周りもぷっくりしていたので内心、また心臓に負荷がかかったのかと怯えた。

昨日一日、ゴロゴロし、足元を高くし、ビタミン剤を飲んでまったりして早く寝た。

恐る恐る服を着る。お腹がキツくない。鏡で足を見る。ぶよっとしたのが引いていた。

ああよかった。

この小さな「ああよかった」を繰り返し、繰り返し生きていくんだなと思う。

ちょっと大掃除をしただけで、と自分のへなちょこ加減に呆れるが、それでもこれが私だ。

どうして私はみんなみたいに動けないんだろうと研究した時もあった。

自分に欠けているのは何か。何がいけないのか。何を食べたらいいのか、何を食べたらいけないのか。

運動もダメ。知性もない。社会性もない。行動力もない。美人でもなけりゃ、スタイルも良くない。

秀でるものがない。

学歴もよく知識豊富で好奇心旺盛、行動力、洞察力のある姉と比べるとなんと地味でつまらない。

ずっとそれがコンプレックスで自己改造を試みた。

さくらももこさんのエッセイのタイトルに「そういうふうにできている」というのがある。

あれは、まさにそうだ。

私という生物は、もう、そういうふうにできているんだからと思えばすべて割り切れる。

骨格もちょっと人と違う。肘から下が少し曲がっている。だからいつも肩が内側を向く。もしくは両脇があく。

骨もちょっと弱い。脳もちょっと誤操作をする時がある。心臓が人より小さい。

この程度のことで、いちいち丁寧に気にするのはやめた。

丁寧にするのは自分のメンテナンスにしよう。自分を可愛がろう。

ロクシタンのシャンプーリンスを買った。

引き出しから出てきた試供品を使ってみたら、翌朝、髪がふさふさ艶々になった。

泡立てている時のいい香りが、一瞬だけ海外のホテルに連れて行ってくれる。

ずっとこういうものにお金をかけることを敬遠してきた。

洗うだけじゃなかった。こんな癒し効果があるとは。

友人からもらって、勿体無くてしまっていたフランスの石鹸も使う。

なんじゃ、この香りは。翌日まで自分からいい匂いがする。

自分が大切に扱われている気がする。

 

この前、当たり前のことに気がついた。

どうして私はと、思ったところで自分を誰かと全とっかえできないんだから。

たぶん、みんなそれぞれ微妙に造りが違う。持ち味も違う。

自分から逃げない。これで私は生きていく。

ロクシタンのヘアミストが欲しい。