おにぎりとロールパンと朝のリンゴ

息子が出社し、夫は家で仕事。

最近気がついたが、この設定が実は一番寛げている。

一人のいいのはなんと言っても気ままなこと。好きなラジオを音量気にせずつけて、好きな時に好きなことをする。食べたくなった時に食べ、行こうと思い立った時に買い物に行く。

相手は大人なのだから、誰が在宅していてもお世話を焼く必要はないのだが、居るとその動向に合わせようとする。

その日によって仕事の流れが違う彼らの行動はそれぞれ違う。

方や12時だったり2時だったり。もう片方は夕方4時だったり、食べなかったり、5時になって何か食べるだったり。

大抵はゴロゴロしているのだからその都度対応すればいいのだが、落ち着かない。

何かもっといい方法があるはず。

常にカレーを常備して昼はカレーと決めておくとか。昼は冷凍パスタかチャーハンと割り切るか。

二人とも一人暮らしをしていると思えば昼の一食くらい、飛ばしてもいいのかもしれない。

息子なのだ。私がアンテナを張っているのは。おそらく。おそらく殆ど。

 

夫と二人きりの日は気を抜いている。

何をすれば喜び、どこを押さえておけばいいのか言わずとわかる。

おかかのおにぎりに海苔を巻き二つ。残っていたロールパンに鶏ハムとブロッコリーを挟んでラップで包む。残り物の鳥の照焼と卵焼きもついでにもう一個、挟む。朝の残りのりんご。

2時過ぎ、カゴに入れて二階に上がり、おいてきた。

電話中の夫は普段の甘ったれた喋り方とは別人のビジネスマンだった。

もうこれでいい。あとは夜まで放っておけばいい。

「トンさーん、ありがとねぇ」

夕方になって空になったカゴにラップをくしゃくしゃ丸めたのを入れて降りてきた。

美味しかったぁ、助かったぁと言いながら配膳台の上にそっと置き、コーヒーを入れようとポットに水を入れている。

残り物で作った昼カゴ弁当にやたら喜ぶ夫に、そうだろそうだろと私はふんぞりかえる。

「ちょっと、そのゴミとかご、黙って置いてくつもり?」

「あ。ふふふふふ。そっかそっか」

夫は笑ってカゴを棚の上に戻し、ラップをゴミ箱に捨てた。

息子だとつい、やってしまうが彼には厳しい。そしてそれが心地よい。

やっぱ楽だ、この人との暮らしは。

彼が私を軽んじると腹を立てるが、いやいやいや。

私もなかなか。