ぶんぶんぶん

昨日は検診日だった。

退院後は一週間ごとに、それが1ヶ月ごとが長く続き、10年後の、ようやく3ヶ月に一度になった。

先生はいつも15分ほど私の話を聞いてくれる。

総合内科医なのに、ほぼ、カウンセラーのようだ。

この先生がいつか話してくれた。

トンさんの場合、「なんか厄介な袋がくっついてるわね」と思いながら生きればいいんですよ。

袋をぶら下げてる分、人よりちょっと動けばあちこちぶつかったりひっかけたり、時には人に潰されて修復したりすることがありますが、手入れをしながら扱いに注意して行動すれば、長持ちします。

先生は笑いながら言った。なんか気がついたら色々くっついてるわ、めんどくさいわねって感じですかね。

 

人は皆、何かしらの袋をぶら下げて生きているのだろう。

生まれてから大きな重い袋をくっつけることになった人もいれば、生まれ持ってぶら下げてくる人もいる。

中身も人それぞれだ。心のこと、人間関係のこと、身体のこと、家族のこと。

天気や状況によって袋は大きく膨らんだり、湿りを帯びて重くなったりする。

それを互いにそっと手で包むようにあっためるとまた、袋はしぼみ、少し軽くなる。

現実の友人家族でなくてもいい。

本でも音楽でも、ドラマの中の誰かの台詞だったり。過去の遠い誰かが造った何かに触れ癒される。

袋は消えることはないけれど、少し、動きやすくなる。

 

私は生まれつきの袋と、その扱いが下手で後からニョキッと出てきた袋と、腰蓑のようにたくさんぶら下げている。

それをぶんぶん振り回しながら、生きる。

時々「いてっ」とぶつけては、しゃがみ込んだり、さすったりしながら、またブンブン腰蓑フリフリ今日もゆく。