ハンバーグ。
捏ねて丸めた肉だねの大きさが、微妙に異なる。
手に持ってみて、感じる程度の誤差だが、若干、こっちの方が重い。
重い方がどっちだったかわからなくならないように、形を少し変える。
こっちが息子の。
卵焼き、バナナケーキ、トンカツ。盛り付けが逆転したのはいつからだろう。
身体の大きさ、中年青年だけではない。息子に甘い。
二人が出勤した日は帰りを待たず、私は9時半には布団に入る。
より良き明日の体調のため、ラジオ体操のため、さっさと先に寝る。
昨夜も二人にLINEを送り眠りについた。
ピンポーン、ピンポーン。
夢の中で誰かが訪ねてきている。今から出かけるのにと夢の中の私は少し混乱している。
ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン。
何かしら、何か緊急の用事かしら、宅配の人が急いでるのかしら、留守かと思って。。。
はっ。現実だ。誰かが門の鍵を忘れて入れないのだ。
このしつこく無遠慮な鳴らし方は夫に違いない。
睡眠を邪魔されたのと、寒い外に出て行かないとならないことに腹立たしく降りてゆく。
私が目覚めたことがわからないので、その間もチャイムは鳴り続ける。
うるさいなあ。鍵くらい持って出ろよ。
玄関を開け、門の外に立つ人影をじっと見た。
「おーい」
息子が手を振っていた。
あら。
瞬時にトーンダウンするこれはなんだろう。
「すまん。鞄移し替えたら鍵、忘れた。寝てた?」
ここで夫だったら「寝てたよっ、もう」と膨れるのだが私の口から出たのは
「気がついてよかったねぇ、お疲れさん、お風呂沸いてるよ」
なのであった。
ああ、夫にもっと優しく。思っているなら行動に移せばいいのになぜか、できない。
照れ臭くていまさら。でもやってみたらどうなるんだろう。
もっと毎日が楽しくなるかもしれない。
夫婦もそろそろプチリフォームするかのう。