結婚記念日3日前にして

ハンバーグ。

捏ねて丸めた肉だねの大きさが、微妙に異なる。

手に持ってみて、感じる程度の誤差だが、若干、こっちの方が重い。

重い方がどっちだったかわからなくならないように、形を少し変える。

こっちが息子の。

卵焼き、バナナケーキ、トンカツ。盛り付けが逆転したのはいつからだろう。

身体の大きさ、中年青年だけではない。息子に甘い。

 

二人が出勤した日は帰りを待たず、私は9時半には布団に入る。

より良き明日の体調のため、ラジオ体操のため、さっさと先に寝る。

昨夜も二人にLINEを送り眠りについた。

ピンポーン、ピンポーン。

夢の中で誰かが訪ねてきている。今から出かけるのにと夢の中の私は少し混乱している。

ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン。

何かしら、何か緊急の用事かしら、宅配の人が急いでるのかしら、留守かと思って。。。

はっ。現実だ。誰かが門の鍵を忘れて入れないのだ。

このしつこく無遠慮な鳴らし方は夫に違いない。

睡眠を邪魔されたのと、寒い外に出て行かないとならないことに腹立たしく降りてゆく。

私が目覚めたことがわからないので、その間もチャイムは鳴り続ける。

うるさいなあ。鍵くらい持って出ろよ。

玄関を開け、門の外に立つ人影をじっと見た。

「おーい」

息子が手を振っていた。

あら。

瞬時にトーンダウンするこれはなんだろう。

「すまん。鞄移し替えたら鍵、忘れた。寝てた?」

ここで夫だったら「寝てたよっ、もう」と膨れるのだが私の口から出たのは

「気がついてよかったねぇ、お疲れさん、お風呂沸いてるよ」

なのであった。

ああ、夫にもっと優しく。思っているなら行動に移せばいいのになぜか、できない。

照れ臭くていまさら。でもやってみたらどうなるんだろう。

もっと毎日が楽しくなるかもしれない。

夫婦もそろそろプチリフォームするかのう。