根性なし

いよいよ本気の衣替えをしなくては。

第一弾として、秋物の薄めのセーター類や長袖のパーカー、マフラーひとつは出した。

このところは洗ってはそれ、洗ってはそれと、二つのパターンを回して着ている。

今のところ、ラジオ体操とスーパー、ドトールくらいしか行くところもないのでそれで充分だ。

しかし、これからどんどん寒くなる。

そろそろ地厚のニットにフリース、よそ行き用のカシミア、あれらを出しておかねば。

なにしろ、ほら。歯医者さんに通って二子玉に寄り道計画もあることだし。見たい映画もある。

息子が仕事をしている部屋に大きな婚礼箪笥が置かれている。私の一張羅は夏も冬もそこに入れている。

彼が家にいる時は出入りできないので出社している今日はチャンスだ。

天気もいい。からっと晴れている。今日しかない。

条件はそろっているのに気持ちがついてこない。

めんどくさいなあ。冬物入れた衣装ケース、どこだっけ。確か夏冬の寝具を入れ替えた時、場所、うつしたんだよなあ。どこに置いたっけ。

あそこのあの場所からあの箱を引っ張り出してと手順のイメージがわかないものだからやる気もわかない。

それでも二階に上がる。

夫の大きなスーツケースを移動させる。確かこの中になにかしまった。空洞がもったいないと普段使わないものを入れた。なんだっけ。

開けると男性陣の下着のストックが出てきた。

そうだ、買いだめしたんだ。放っておくと穴があくまでパンツをはくから。健康診断や着替えで人前に出るときにヨレヨレパンツはまずいからこっちで定期的に入れかえようと思いついたのだった。

すっかり忘れていた。

二人ともヨレヨレしたのを身につけている。

それらを取り出し今の下着の中から捨てても良さそうなものを選び入れ替えた。

あったあったこれだ。

お目当ては意外とすぐ見つかった。

無精な自分のために、ちゃんと取り出しやすいところに置いていた。でかした過去の私。

上に積んである重い寝具のケースをおろし、その箱をずるずる引っ張り出す。

蓋をあけるとお久しぶりの冬物たちが顔を出す。

出して出してとせっつかれているような変な圧力を感じる。

・・・ここにあるってことがわかったってことで。

そっと蓋を閉めた。

下準備、完了。

今日はここまで。